2021年4月1日、工事中だった北谷公園がリニューアルオープンしました! 渋谷には大小様々な公園がありますが、去年夏に再オープンした宮下公園に続き、今回ご紹介する北谷公園(読み方:きたやこうえん)も行政と民間企業が連携したことによって新しく生まれ変わった公園になります。Park-PFIと呼ばれる制度を渋谷区の公園で初めて活用したということもあり、今回は公園全体の設えに加えて、仕組みの面からもポイントを読み解いていきます。
都会の真ん中にある穏やかな空間
北谷公園は、周囲をアパレルショップや飲食店・雑居ビルなどに囲まれつつ、徒歩3分圏内にはLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)や渋谷PARCOなどの大型施設もあり、地図上では賑やかで雑多な印象があります。
しかし、大通りから細い路地を1本入っているためか、実際に足を運んでみると比較的静かで明るく開放感があり、ゆっくりと寛げそうな空間になっていることが分かります。
公園の中には適度な植樹が施されつつも、全体として視線が抜けるような空間作りがされており、段差をつけた設えも相まって一層の開放感を感じさせます。
渋谷の真ん中にある公園とは思えないほど穏やかな空間になっており、晴れた日には陽の光や緑の心地よさを味わえることでしょう。
また、公園の中からは周囲の景色を楽しむことができますし、外からも中の様子がよく分かるので、出入りのしやすさをとても感じさせます。地域へ開いた公園として上手に設計されているのではないでしょうか。
公園の”顔”となる建物
もう一つ欠かせないポイントは、公園の後段にある木目調が印象的な建物です。
この建物に、「ブルーボトルコーヒー 渋谷カフェ」が4/28(水)よりオープンします。こちらは、後述するPark-PFI制度を活用したことで、区が所有する公園に民間資本を入れることが可能となっています。2階建てとなっていることから、公園を見渡しながらコーヒーを飲んで寛ぐこともできそうです。
ちなみに、4月1日から4月20日までは期間限定で「ブルーボトル コーヒートラック」も設置されていました。(現在は終了しています。)
また、建物のカフェ部分に隣接する形で「大屋根エリア」と呼ばれるスペースもあります。
天井は2階部分までの高さがあり、広々とした空間になっています。イベントの際など、様々な場面で活用できる空間的な余白が残されているのではないでしょうか。この建物によって、北谷公園が大きく特徴づけられており、”顔”としての存在感を感じさせます。
夜のライトアップ!
リニューアルした北谷公園のさらなる特徴として、夜のライトアップが挙げられます。ライトアップによって都会の公園らしい上品な雰囲気を醸し出しつつ、夜間の視認性を高めることで防犯効果も期待できそうですね。
Park-PFIによる事業スキーム
このように素敵なリニューアルとなった北谷公園ですが、以前は道路上の違法駐輪を解決するために、公園の約半分を駐輪場として使用していたそうです。それによって賑わいや休息など、公園で行えるアクティビティが限られてたのではと想像されます。
そこで、北谷公園を地域の賑わいづくりや活性化の拠点として、多くの人々に利活用してもらうために、今回渋谷区の公園で初めて「Park-PFI制度」が活用されたようです。
P-PFIは、飲食店、売店等の公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から生ずる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募により選定する制度であり、都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上、公園利用者の利便の向上を図る新たな整備・管理手法である。
引用:国土交通省 都市公園の質の向上に向けた Park-PFI活用ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001197545.pdf
Park-PFIは、公共施設である公園に民間企業の力を活用してカフェや売店などを設け、得た収益で公園の整備などを行うことで、より魅力的な場所にしていこうという取り組みです。いま注目される「パークマネジメント(公園経営)」を後押しする制度のひとつであり、久屋大通公園などが他の事例として挙げられます。
また、上述の国土交通省ガイドラインを読み解いていくと、 一定割合までは建ぺい率を上乗せできることが分かります。こういったことから、決して敷地面積が大きくない北谷公園においても、充実した規模の施設を入れることが可能となっているのでしょう。
P-PFIにおいては、民間事業者の公募への参入意欲を高めるとともに、大規模な都市公園以外でも当該制度を活用できるようにする趣旨から、便益施設等であって、当該施設から生ずる収益を特定公園施設の建設に要する費用に充てることができると認められるもの(公募対象公園施設)について、10%を参酌して条例で定める範囲を限度として建蔽率を上乗せすることができる。
引用:国土交通省 都市公園の質の向上に向けた Park-PFI活用ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001197545.pdf
ちなみに、公園の指定管理者は「しぶきたパートナーズ」 となっており、東急株式会社を代表企業として株式会社CRAZY AD、株式会社日建設計で構成されています。
エリアとしての展開
今回のリニューアルによって、空間の面でも、仕組みの面でも工夫が施されていることが分かりました。さて、それでは周辺との関わりはどのようになっているのでしょうか。
まず挙げられるのが、北谷公園のロゴ。こちらのデザインは、同エリア(神南・宇多川町)に所在する「専門学校 桑沢デザイン研究所」の学生を対象としたコンペで最優秀賞に選出された作品を採用しているようです。
また、一般社団法人「渋谷駅前エリアマネジメント」が展開するフリーWi-Fi「SHIBUYA Wi-Wi-Fi」を整備していることもあり、エリアマネジメント組織との連携も伺えます。
他には、シブヤ経済新聞によると、今後は同エリア(神南・宇田川町)に「新たなランチスタイルの形成」を図るため、フードトラック2~3台の出店を予定していることや、地域のお祭りである「北谷稲荷秋季例大祭」との連携を検討しているなど、公園内だけではなくエリアとして活性化していく姿勢を読み取ることができます。
渋谷ならではの公園
リニューアルした北谷公園を探っていくと、そこには滞在しやすく居心地の良い空間だけではなく、渋谷ならではの先端的な取り組みやエリアとの連携が垣間見える、とても興味深い場所となっていることが分かりました。
渋谷を訪れた際は、ぜひ北谷公園に寄ってみるのはいかがでしょうか。
北谷公園
東京都渋谷区神南1丁目7-3
公式WEBサイト:https://shibuya-kitaya-park.tokyo/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/shibuya_kitaya_park/