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ビルの足元ににぎわいを生む「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」

エリアマネジメントキーワード
#財源性 #独自性 #多様性

近年、オフィス等のビルの足元であるオープンスペースを活用し、マルシェ等にぎわいを生むイベントが都心を中心に増えてきています。しかし、全てのビルでこのようなイベントを開催できるわけではありません。それはなぜでしょうか?
そもそもイベント実施が可能な立地なのか、面積なのかということもありますが、実は制度上の制限があるのです。「民間の敷地内であれば自由に使えるのでは?」と疑問に思われるかもしれませんが、「公開空地」の指定を受けているオープンスペースには利用の制限がかかっているのです。

総合設計制度と公開空地

公開空地とは、建築基準法の「総合設計制度」で開発プロジェクトの対象敷地に設けられた空地のうち、一般に開放され自由に通行または利用できる空地のことです。法律や都市計画で定められた制限に対し、容積率や高さ制限等を特例的に緩和を認める総合設計制度を利用した場合には、公開空地を設けなければならないのです。利用者が限定される、例えば参加費徴収や物品販売といったイベントは実施できず、年間180日以内の活用、都度東京都への事前申請が必要などいくつかの条件があります。可能なイベントとしては、まちの活性化や公共公益に資するイベントで、例えば御神輿の神酒所などの地域の催事行為、近隣学校の部活動による音楽発表会等です。

敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例
建築基準法第五十九条の二
その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建ぺい率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、第五十二条第一項から第九項まで、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の二第六項の規定による限度を超えるものとすることができる。

総合設計制度と公開空地

(引用:国土交通省HP)
引用先:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/kisei/59-2sogo.html

しゃれ街条例による公開空地活用の柔軟性向上

このような原則によりオープンスペースはあるものの活用できていなかった時代が続きました。そこで、公開空地を積極的に活用できるように導入された制度が東京都の条例「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」(通称:しゃれ街条例)です。この条例は、個性豊かで魅力のあるしゃれた街並みづくりを進め、東京の魅力向上に資することを目的に設けられ、以下3つの制度が整備されました。公開空地の活用は③に該当します。

① 都市計画に基づく規制緩和などを活用しながら共同建替等を促進する「街区再編まちづくり制度」
② 地域の協議会が中心となって取り組む一体性のある街並み景観づくり活動を支援する「街並み景観づくり制度」
③ 地域の特性を生かし魅力を高めるまちづくり活動を行う団体を登録し、活動の促進を図る「まちづくり団体の登録制度」

まちづくり団体登録により、可能になったこと

しゃれ街条例の制度により、無料の公益的イベントに加え、まちの活性化に資すると認められれば参加費を徴収する等有料の公益的イベントやオープンカフェ、物品販売が実施可能(年間180日まで)になったことに加え、無料の公益的イベントやオープンカフェ等は日数制限なしと利用日数の制限緩和や、申請手続きの簡素化が実現しました。この制度によって公開空地活用の柔軟性が上がり、地域の魅力を高める様々な活動が行われています。ちなみに、第一号のまちづくり団体は六本木ヒルズでした。

資料引用:東京都都市整備局HP(引用先:http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/fop_town/syare03.htm)

制度の広がりとまちなか広場でのにぎわい創出

2017年3月末時点で、しゃれ街条例におけるまちづくり団体の登録数は55団体にも上ります。それぞれ、空地の特徴を活かしながら様々な活動が行われています。空地横に設置されている看板には公開空地の範囲やまちづくり団体の名称が記載されていますので、興味がある方は是非確認してみてください。現時点では東京都のみの条例ですが、全国各地、特に大都市都心部で類似の制度が導入または検討されています。街に活力を与える一つの“セールスポイント”として、空地の活用が今後さらに進んでいくといいですね。

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