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「エリマネと“共創”を語る」《第1弾》(エリマネスクール第8期受講生インタビュー) 

近年、AI技術の大幅な進展が注目されるなど、技術革新がますます進行し、第4次産業革命による「Society5.0」が提唱されています。中でも、利便性や効率性の実現を主目的とするのではなく、デジタル技術・データを活用しながら、人間ならではの多様な想像力や創造力を発揮して、社会を“共に創造”していく「創造社会」の概念が提唱されています。

競争から「共創」へと流れ行く社会の中で、まちづくりの分野におけるエリアマネジメントの手法はまさに「共創」を体現するものと言えるのではないでしょうか。そして、エリマネによる「共創」は、単なるまちづくりに留まらず、これからの社会を形作る上で重要な考え方のひとつです。

そこで、「エリマネと“共創”」をテーマとし、エリマネの手順や考え方について体系的に学ぶ「エリマネスクール」の卒業生であり、エリマネ実務に取り組む方々にインタビュー。日々の業務の中でエリマネスクールでの知見がどのように生きているか、今後の社会に求められる「共創」に触れる機会はあるのか――株式会社ドーコン(以下、「ドーコン」)で、再開発や官民連携などまさに「共創」に取り組む若手社員・木村里音さんに、生の声を伺いました。(以下、敬称略)

まちづくり業務でのAI活用とは

―木村さんが勤務されているドーコンについて教えてください。御社の事業の中で、デジタル化を始めとする技術革新の影響をお感じになる場面はありますか。

(木村)弊社は、総合建設コンサルタントとして、北海道を中心とした国内の社会基盤整備に携わっています。交通・河川・環境・都市などの部署を有しており、複数分野が複合したプロジェクトにも取り組めることが強みの一つです。

▲ドーコン社設計の放水路トンネル内部(望月寒川放水路トンネル)

技術革新による事業への影響というところでは、例えばBIM/CIMと呼ばれる3次元モデルの活用によって、建築パースの立ち上げや現場の作業状況の再現を容易にできるようになるなど、事業関係者間における直感的なイメージの共有がしやすくなっています。また、国としてデジタル化を推し進める方針がある中で、公共から受注する業務そのものが「デジタル化」に係る内容である場合もあります。

―デジタル化自体が業務になっているとのお話、とても興味深いです。現在の業務内容についてお聞かせください。

(木村)ソフト面におけるまちづくりを主として扱う部署に属しており、私自身は、中でも再開発や官民連携支援に係る内容を多く担当しております。業務の中では、実際にチャットGTPやAI生成画像を使用する機会が増えてきました。AIの日常的な利用によって資料作成や情報収集が効率化した分、本質的な内容の検討に時間とマンパワーを割くことができるようになってきていると感じます。

▲官民連携によって整備された道の駅(道の駅 おとふけ なつぞらのふる里)

―業務の中でAIを上手に活用されている姿が思い浮かびました。本質に時間を割けるというのは、まさに技術革新の意義が発揮されていますね。

エリマネは「熱意・思いのこもった事業」

―一方で、社会全体として単に効率化ばかりを推し進めるのではなく、競争から「共創」へ向かう流れもあるかと思いますが、エリアマネジメントもまさに関係者との共創に当たると思います。どのようなイメージをお持ちでしょうか。

(木村)市街地再開発事業の中でエリアマネジメント計画を作成し、関係者のみなさまにたたき案としてご覧いただいたことがあり、関係者が多い事業や、熱意・思いのこもった事業で検討される印象を持っています。具体的には、再開発や駅前の活性化に係る事業の一環として検討するイメージです。

▲勤務中の木村里音さん

―エリマネは関係者の調整が大変だからこそ、「熱意・思い」が大切ですよね。木村さんは昨年度開催された「エリマネプランナー基礎講座」を受講いただいておりますが、なぜご受講されたのでしょうか。

(木村)個人的興味と、新しい概念を若手に学ばせようという会社の方針が受講のきっかけとなりました。今後もコンスタントに再開発事業に関われる機会がありそうなので、社会人としての自分の土台を形成する入社1年目というタイミングで、エリアマネジメントをしっかり体系的に学ぶことができた経験は、とても有益であったと感じます。

―個人の思いと会社の方針が合致されたのですね。講座を通して学ぶ上で、事前にご不安だったことや懸念されていたことはありましたか。

(木村)内容の濃い講座だと初めから感じていたからこそ、自分の業務もある中で講座の課題にきちんと取り組めるのか…というところには若干不安がありました。結果としては、他の受講者の皆さんも働きつつ受講されているということ、また課題に対するフィードバックがあることなどから、最後までモチベーション高く取り組むことができました。

▲エリマネスクールにて対象地区とした新さっぽろ(空中歩廊)

―実際に講座に参加されて、ご感想はいかがでしたでしょうか。

(木村)エリマネを、意義・歴史・類型といった基礎知識の部分から、収支計画などの実用的な部分まで体系的に学ぶ経験ができる場所は、現時点では非常に貴重であるように感じます。エリマネは地域によって個性があるので、業務でいくつかの事例に関わるだけではエリマネの全体像を理解することはできなかっただろうと感じます。

業務では、駅周辺をいくつかの区域に分けて少しずつ順番に再開発している、というケースにおいて、今回の再開発対象地区とこれまでに再開発してきた周辺地区との連携の必要性からエリアマネジメント計画を作成しました。エリマネプランナー講座で一通り計画を策定していたこと、また講座内でたくさんの事例を見せていただいていたおかげで、具体的で実現性の高いプランに仕上げることができたと感じています。収支計画や事業推進体制についても、実務に即して具体的に学ぶことができました。

まち全体への貢献に「エリマネ」が必要

―体系的に学ばれた上で、エリマネの将来性についてはどのように感じていらっしゃいますか。

(木村)市街地再開発事業は、補助金として税金を利用する以上、再開発の利害関係者のみならずまち全体への貢献が必須要件になると考えます。権利者などの利害関係者とは、理事会や個別面談など様々な形で時間をかけて協議を行い、事業性を確保できるよう慎重に検討を進める一方で、再開発をまちづくりとして成功させるためには、これまでまちを支えてきた住民の皆さんや地域の店舗経営者など、利害関係者以外の多様な主体とかかわり合っていくことのできるエリマネが必要であると強く感じています。

▲エリマネスクールにて対象地区とした新さっぽろ

―この度はお忙しい中、インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。最後に、次年度の受講者に向けてメッセージをお願いいたします。

(木村)エリマネは、今後のまちづくりにおいてますます注目される概念であると考えます。その一方で、しっかり勉強したいと思ってもエリマネについて体系的に学ぶことのできるコンテンツはまだ少ないように感じており、エリマネプランナー基礎講座をたまたま知ることができて良かったと思っています。

また、受講者である同業種の企業の方と同じ課題に取り組み、そこに至る皆さんの考え方をお聞きしたり意見交換したりできるというのも、滅多にない機会で非常に面白かったです。受講の大変さ以上に得られるものがあると感じましたので、是非最後までやり遂げていただきたいです。

講座の中でしか学べないものがたくさんありそうですね。本日はありがとうございました!

エリマネスクール「プランナー基礎講座」(第9期) 受講生募集中!

※7/16(火)より、クオル(エリマネこ運営会社)では、木村さんが昨年受講されたエリマネスクール「プランナー基礎講座」(第9期)(開講期間:9/28~11/16)の受講生を募集します。エリマネの初心者は勿論、ある程度実務をされている方のノウハウの整理やブラッシュアップにも幅広く役立つ講座となっており、毎年まちづくりに関わる幅広い業界の方々が受講されています。7/26(金)には、エリアマネジメントにご興味のある皆様が気軽にご参加いただける事前説明会(オンライン形式)も開催予定ですので、是非この機会に受講をご検討下さい。

過去のエリマネスクール受講者インタビュー

第7期《第1弾》「あなたと、エリマネ」(エリマネスクール第7期受講生 柳田まどかさん)
第7期《第2弾》「あなたと、エリマネ」(エリマネスクール第7期受講生 山下香澄さん)

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