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パブリックなスペースを上手に活用!はじめに着目しておきたい法制度とは

エリアマネジメントに取り組んでいく上で欠かせない活動の一つとして、地域資源などを活かしたイベントを行うことが挙げられます。自ら所有する拠点を利用する場合もありますが、より多くの人へと届けるためには公共空間やオープンスペース(例:公開空地)などの活用も必要になってくるのではないでしょうか。

エリアマネジメント組織が公共空間やオープンスペースを活用して、例えばマルシェなどのイベントを行う場合、その場所を管理する行政機関や関係団体・警察に対して事前の相談や申請が必要になってきます。そこで今回は、公共空間/オープンスペースを活用する際に最初に着目しておくべき制度や法律を紹介します。(2022年10月時点)

道路や公園でのイベント開催

道路や公園などを利用する際によく使われる言葉で「占用許可」というものがあります。占用とは、たとえばベンチや街灯などを道路や公園に設置し、独占的・継続的に使用することを指します。イベントで考えると、テントやステージを立てるなどが考えられます。そして、それらを置くことを許可する手続きを「占用許可」と呼びます。たとえば道路法、都市公園法に下記のような規定が設けられています。

(道路の占用の許可)
第三十二条
道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
一 電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
二 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
三 鉄道、軌道、自動運行補助施設その他これらに類する施設
四 歩廊、雪よけその他これらに類する施設
五 地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
六 露店、商品置場その他これらに類する施設
七 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの

道路法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000180

(都市公園の占用の許可)
第六条
都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない。

都市公園法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331AC0000000079

占用料や占用の期間ないし場所については、道路/公園ともに地方公共団体ごとに条例が定められており、イベントを実施しようとしている場所における各地方公共団体の担当課に問い合せをすることとなります。

また、公園については、民間事業者等による管理方法(指定管理者制度)を導入している場合もありますので、その場合は指定管理者に相談をすることになります。指定管理者制度を活用した公園の場合、利用料金は各地方公共団体の承認を得て指定管理者が個別に定めていますので、イベントを検討する際には利用できる内容とあわせて料金は事前に確認しておくとよいでしょう。

道路占用許可を活用した札幌大通まちづくり株式会社の事例(編集部撮影)

道路を利用したイベントでは警察との事前協議も必要

道路を利用したイベントを行う場合、前述したような道路所有者・管理者に対して許可を求める「道路占用許可(道路法)」のほか、交通環境の管理等を担う警察に対して「道路使用許可(道路交通法)」も必要になります。

(道路の使用の許可)
第七十七条
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

道路交通法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

道路においてイベントを実施しようとする場合、本来の用途に即さない道路の特別の使用行為に該当しますが、地域活性化等に資するという社会的な意義がある場合は、特別に許可されるという制度になります。許可にあたって、交通への影響を最小限に留めつつ、安全・円滑にイベント等を実施する方法を検討することになります。警察との事前調整が必要であり、時間的に余裕をもっておくことが必要と言えるでしょう。

道路占用許可と道路使用許可を利用した日本大通りオープンカフェの事例

民間空地などの利用

道路や公園などの公共空間だけでなく、公開空地や有効空地といった民間敷地内の空地を活用してイベントを実施することも可能です。そこをエリマネ組織などの団体が利用しようとする際は、管理組合など空地の所有者・管理責任者が管轄の地方公共団体に対して申請を行い承認を得る必要がありますが、利用期間や利用目的に制限がつくことになります。

一方で自治体によっては「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」(通称:しゃれ街条例)のように、賑わい形成を目的として上記のような規制を緩める動きもあります。例として、このしゃれ街条例の場合を見てみましょう。もし同条例によって、空地の所有者・管理責任者から活用の同意を得たエリマネ組織などが「まちづくり団体」としてまちの活性化に資すると東京都に認められると、無料かつ誰でも参加できるようなイベントやオープンカフェ・物品販売などは日数の制限がなく空地を利用できます。それに加え、団体登録がなければ実施できない不特定多数に向けた有料イベントの場合でも、年間180日まで利用可能といった制限緩和を受けることができます。

このように規制が緩和されることによって、より多くの種類のイベントや企画も可能になってきます。一方で承認後の運用にも注意が必要です。例えば前述のしゃれ街条例では、月に一回東京都に対して事前に活動内容を報告する義務も出てきます。このような条件面も整理した上で、早めに関係者と利用内容を検討・整理していけるとよいでしょう。

神田淡路町ワテラスでの事例(編集部撮影)

より充実したエリアマネジメント活動をするために

公園や道路、公開空地等を利用したイベントの場合、根本的な考え方は法律や国の定めた指針に基づいていますが、詳細なルール等に関しては各管理者が個別に定めているため、早い段階で公共施設等を管理する管轄の部署や関係先に連絡をし、必要な資料等を事前相談しておくことが望ましいと言えます。

また場所に限らず、イベントの内容によっては食品衛生法や古物営業法、消防法などの参照も必要になりますので、実施するイベントに合わせてチェックしておけるとよいかもしれません。今回ご紹介した法律や制度を適切に活用することで、より充実したエリアマネジメント活動を目指していきましょう。

参考文献:「エリアマネジメント推進マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000068.html

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