渋谷川沿いの新たな水辺空間の誕生として注目される「渋谷ストリーム」2018年9月13日開業
2012年4月開業の渋谷ヒカリエ、2017年4月開業の渋谷キャストのオープンに続き、2018年9月13日に「渋谷ストリーム」が開業します。Googleの日本本社が移転することでも話題になったこの開発に、内覧会という形で一足早く行ってきました。‘街の歴史・記憶を引き継ぐ再開発’‘にぎわいを生む広場’の2つに着目してレポートしたいと思います。
旧東急東横線の記憶
渋谷ストリームは、東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転開始により地下化し、利用されなくなった旧東横線渋谷駅のホ―ム、線路跡地およびその周辺地区を活用して、渋谷川沿いに完成した再開発です。そのため、いろいろなところに鉄道の記憶が散りばめられています。
まず目に入ったのが、ペデストリアンデッキのデザイン。このかまぼこ型屋根は、かつての東横線渋谷駅のホーム屋根のデザインをモチーフにしたものでしょう。
その他にも、建物内を貫くように鉄道線路の跡が、類似する色のタイルで表現されていたり、一部には実物の線路が埋め込まれていたり、レールと枕木という線路モチーフを組み合わせてつくられたベンチが置かれていたり、高架の柱Noを引き継いでいたり、いろいろなところに旧東横線渋谷駅の記憶と記録が残されており、それらをひとつひとつ見つけることも楽しく、遊び心あふれる空間になっていました。
渋谷川がいこいの場所として復活
もう一つ特徴は、渋谷川を活かした開発であることです。
かつて、橋のたもとの広場(橋詰広場)は、街のにぎわいの中心だったそうです。江戸時代には人々の生活と情報発信の拠点であったそうです。 現代の渋谷に現れたこの場所もいこいの場所になりそうです。
この渋谷川は都市部にありがちな決してきれいな川とは言えずどちらかといえば、今までは隠されてきた空間で、街の裏側と言っても過言ではないような場所でした。しかし今回の開発ではその隠されてきた渋谷川に光が当てられ、渋谷川を活かす再開発、取り組みが行われています。
渋谷川に沿うように遊歩道が整備されてそこに面して複数の飲食店舗が並び、歩いてみたくなるようなつくりになっています。また川の土手部分にあたる側面上部から、白糸の滝のように水が薄く流れ落ちるようになっていました。さわやかな水音が響き目にも心地よい風景つくられているなかで、川の手すりにはちょっとした簡易カウンターが取り付けられている箇所もあり、飲み物片手に川の風景を楽しめる工夫がなされていました。
渋谷川上空を利用したにぎわい広場
そしてにぎわいを生むために大きな役割を担うと考えられる仕掛けが、渋谷川の上空を活用し設けられている2つの広場「稲荷橋広場」「金王橋広場」です。
ただの広場ではなく、パラソルの支柱を刺しこむためのホールやテント用のアンカー、電気配線用のピットやイベント用と思われる大きな電源盤も近くにあり様々なイベントに活用することを想定してつくられた広場であることがうかがえます。また、稲荷橋広場に面して印象的な大階段もあり、ここはステージにも観覧席にもなりそうな面白い場所だなと思いました。
開業からは、映画イベントやマーケットなど様々なイベントも計画されているようです。「人も川も時間も流れるクリエイティブワーカーの聖地」というコンセプトを具現化すべく、ハード・ソフト共に様々な取り組みを行っていることが渋谷ストリーム。ぜひ足を運んで渋谷の記憶を体感してみてはいかがでしょうか。https://shibuyastream.jp/event/