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水辺から加速するまちのイノベーション!MIZBERING FORUM 2020220レポート

最近水辺にいい場所が増えてきたと思いませんか?
東京・日の出ふ頭のHi-NODE、大阪のTUGBOAT TAISHO、福岡天神中央公園のハレノガーデン、この1年に全国でオープンした新しい水辺の施設を見ても数多くにのぼります。
そう、いま水辺のまちづくりが熱いのです!
そのムーブメントを加速しているのが官民一体の協働プロジェクトであるミズベリング。水辺の勢いを感じることのできるイベント「MIZBERING FORUM 2020220」から見えた、注目の動きをレポートします。

フォーラムのキャッチフレーズは「川ろうぜ!突き抜けようぜ!」

竹芝に全国の水辺イノベーターが集結!

2020年2月20日、新型肺炎の影響により至る所でイベント中止が出始める中、関係者による感染対策努力によってMIZBERING FORUM 2020220には大ホールを埋める観衆が集まりました。

フォーラムのキャッチフレーズは「川ろうぜ!突き抜けようぜ!」水辺の空間そのものだけでなく、新しい時代をつくる全国のイノベーターとその働き方にもスポットが当たっていました。ミズベリング・プロジェクト事務局の岩本唯史さんによる10の水辺「トレンドレポート」からはじまり、6人のイノベーターによる「ピッチセッション」、元ポートランド開発局の山崎満広さんによる「インスパイアトーク」、最先端の水辺改革についての「竹芝insight」という刺激にあふれたプレゼンテーション。
そして、会場中央のステージで車座になって議論する「アイデアセッション」では、「公共空間の可能性を広げる仕事をする人のより良い働き方とは」について創造力にあふれるアイデアが飛び交いました。

2019年10の水辺トレンドを紹介するミズベリングの岩本さん

各セッションの内容はミズベリングの公式レポートでもまとめられているので、本記事ではフォーラム全体を通して見えた、水辺のまちづくりの動きと可能性のポイントに迫ります。

水辺にとどまらないまちの空間に勢いが波及

まず印象的なのが、水辺をテーマにしながら、水辺に限らないより広いまちの空間に影響する活動が広まっていることです。
たとえば、水都大阪の仕掛け人でもあるランドスケープアーキテクトの忽那裕樹さんは、大阪の目抜き通りである御堂筋の公園化に向けたビジョンと実験を紹介しました。
水辺の活用を中心に高まってきた「大阪力」が、道路空間の変革にも波及してきているのです。

星野リゾートの石井芳明さんが携わる長門湯本温泉の再生プロジェクトも、水辺とまちのつながりが見える事例でした。
温泉街を流れる川を実験的に使いながら川床や飛び石を整備して魅力をつくり、同時に温泉街エリア全体としても新しい仕掛けをし、まちとして生まれ変わってきています。 その積み重ねを経て、新しい水辺のホテルが今月オープンするそうです。

星野リゾートが進める川を中心とした温泉街再生

実験から実装に向けたサイクルの広まり

水辺の変化を可能にしてきたのが、小さな実験による効果の実証でした。
行政による社会実験も盛んにやられるようになってきましたが、民間企業の中で事業化を実現するためにも、小規模な実験と実証を繰り返すサイクルがうまく使われているようです。
竹中工務店の高浜洋平さんが紹介したのは、その一例としての「江東イーストベイプロジェクト」。木と水のまちづくりを目指して、従来の建設会社のイメージにとらわれず、川床や健康緑道、ロボット船など、仮説とシナリオに沿って様々な実験を繰り広げているそうです。
竹芝エリアマネジメントの田中敦典さん、JR東日本の花倉伸治さんが取り組むWATERS竹芝のプロジェクトも、繰り返し行った社会実験が基礎となっているそうです。社外へのアピールとなるだけでなく、社内での調整や認知拡大にも重要だったといいます。

会場にはWATERS竹芝の模型も

立場を超えて活発化する水辺のアクション

「官民連携」といっても、官も民も様々。水辺の専門家だけでなく、多様な立場から水辺のまちづくりを進めるアクションが広がっているのも印象的でした。
たとえば、新潟で「やすらぎ提」の活動を繰り広げるスノーピークの荒巻翔太さん。アウトドア好きには有名なメーカーが水辺に関わっているのは、「人生に、野遊びを。」という会社のコンセプトにつながるものだからなのだそう。水辺にキャンプ用品を持ち出して、水辺Enjoy! ミーティングやCamping Officeなどを実施して水辺の可能性を広げています。
一方、行政からの登壇者として国土交通省 利根川上流河川事務所長の三橋さゆりさんからは、昨年の台風19号で氾濫危機にギリギリで立ち向かった生々しい現場のレポートがありました。楽しさを感じる水辺の話が多い中で、異常気象に立ち向かう治水技術の積み重ねを再確認することができ、水辺と人の関わり方について改めて考えることができました。

スノーピークのCamping Officeも会場に設えられていました。

公共空間にイノベーションを起こす働き方

今回のフォーラムのテーマとなっていたのが、突き抜けたイノベーションを起こすための働き方。フォーラムのパンフレットには「時代を変えるのは、いつだってハミダシモノだ」とあります。発想力やチャレンジ精神、協働といったミズベリングを象徴するような「ハミダシモノ」のマインドが、どんどん普通になっていくような可能性がひしひしと伝わってきました。
それを体現していたのが、産休中ながら国土交通省都市局として登壇した今佐和子さん。出産直前ながら人のための空間づくりに向けてあふれる情熱と、それをバックアップする組織の度量が伝わってきました。大きな組織の中でもテレワークのような働き方や、縦割りになりがちな部門の横断、マチミチ会議のような非公式で始めてしまう活動などをやったという実体験は、多くの参加者に希望とモチベーションを与えるものでした。

自分事として居心地のいいまちでの働き方を模索する今さん

さらに聴衆に刺激を与えたのが、山崎満広さんによる「インスパイアトーク」。山崎さんは、長年アメリカで働いた後、日本に「移住」して事業を始める中で、日本社会の変化の遅さに驚いたといいます。世界的に見れば新たに「Z世代」と呼ばれる世代が台頭してきて、変化が加速しているという事実と働き方のシフトについて、熱い語り口で実例を示していきます。一方で、外からの目で見ると日本には唯一無二の魅力もあると語る山崎さん。「もっといこう!」と力強く挑戦を呼びかけました。

山崎さんから、これからの日本の働き方に向けた熱いメッセージ

新しい時代に向け、「変化」から「変革」へ

これまでもインパクトある水辺の変化をリードしてきたミズベリング。2020年代を迎えて、これまで起こってきた個々の変化が、まちと公共空間のあり方や人と組織の働き方の変革にまで、川の流れが集まるように大きなうねりになってきたように感じさせるフォーラムでした。2020年には新しい水辺空間がまた続々と開業予定だそうです。水辺まちづくりの流れは、ますます加速していきそうです!

2020年も全国で新しい水辺空間が!

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