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歩いて楽しい、まちに溶け込む商店街 下北沢「BONUS TRACK」

BONUS TRACKは、小田急線下北沢駅と世田谷代田駅のちょうど真ん中にあります。2020年4月1日に開業した新スポットです。

下北沢といえば、ファッション・カルチャー・若者といった賑わいのある街です。そんな下北沢駅から少し歩いたところに、BONUS TRACKはありました。

名前の由来は、下記の通りだそうです。

元々は線路があった場所に、お店を開くことができる「ボーナス」と、線路跡地を表現した「トラック」を掛け合わせています。また、音盤における「ボーナストラック」は、本来のアルバム構成には含まれていないものの、アーティストがやりたいことを表現しやすい部分であることから、本施設も、余白のような場所として、さまざまな方々が本来やりたいことを思う存分チャレンジできる施設としたいという想いを込めています。
(参照:小田急電鉄ニュースリリースより:https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001owqy-att/o5oaa1000001owr5.pdf

まちに溶け込んだ商店街

都心にある商業施設はだいたい大げさなくらい大きな自動ドアや敷地を囲う植栽や柵があって、見るからに分かりやすい区切りを示すことが多いのですが、このBONUS TRACKからは、忽然と姿を現し、気がつくと施設の中に迷い込んだような、そんな印象を受けました。

そう感じさせるのは、BONUS TRACKの脇に東北沢~世田谷代田駅までの3駅をつなぐ遊歩道が続いているから。この遊歩道と施設の間に何箇所か行き来できる歩道があり、そこを通ってお店とお店の間を縫うように進んでいくと、中庭のような広場や、公園のような石畳が並ぶ歩道に出会います。変化に富んだ、ついつい歩きたくなってしまう空間になっています。

この施設があるエリアは住居専用地域ということもあり、高さを抑えた2階建ての建造物で施設が構成されています。遊歩道から出ると、すぐに閑静な住宅街に入り込みます。住宅街側から見ても、低層のBONUS TRACKはまち風景に溶け込んでいるように感じられます。

この施設は、明確な入口出口というものを感じさせず、段差もなく回遊しやすいので、気兼ねなく入れるまさに商店街のような場所です。

小田急電鉄の開発コンセプトを実現する仕掛け

この施設が生まれた背景には、小田急線東北沢駅~下北沢駅~世田谷代田駅間の地下化に伴って生まれた全長約1.7km、約27,500㎡の線路跡地を開発する「下北線路街」プロジェクトがあります。これは全体で13のプロジェクトからなるもので、BONUS TRACKはそのうちの1つということになります。

この下北線路街プロジェクトは、「支援型開発=サーバント・デベロップメント」をテーマに、”BE YOU” 「シモキタらしく。ジブンらしく。」を開発コンセプトに掲げて行っています。支援型開発ということで、3つの支援[①であう②まじわる③うまれる]をアクションに展開しています。(参照:下北線路街よりhttps://senrogai.com/concept

「本開発はエリアの魅力のひとつである『店主の顔が見える個性的な店舗』が未来にも引き継がれるように、新たなチャレンジを応援したいという想いから開発する」と冒頭のニュースリリースに記載のある通り、商業施設に入居しているテナントはどれも個性的で、チェーン店のようなラインナップは一つとしてありません。

店主の顔が見えるハードの仕掛けとして、遊歩道側はカウンターバーやガラス張りの設計になっています。お店の中を覗けるような設えになっているため、地域に開いていることを感じさせるのです。これによって、店内から歩行者を確認することができ、出会いが生まれます。
実際に取材中に施設内を歩いていると、元気よく「こんにちは~!」とお店の中から挨拶をしていただき、ついつい言葉を交わしてしまうような、お店と距離感の近い商店街のような雰囲気を感じました。また、ハードだけでなく、お店の人たちの魅力もポイントです。

施設全体の企画・運営は、WEB メディア「greenz.jp」のビジネスアドバイザーや全国のまちづくりを手掛ける小野裕之氏と、新刊書店「本屋 B&B」を経営する内沼晋太郎氏が、本プロジェクトのプロデュースをきっかけに創立した株式会社散歩社が担っています。
開発コンセプトを体現する魅力ある空間づくりは、ローカルやソーシャル、カルチャーの最前線を見てきたお2人だからこそ為せる技なのでしょう。

地域とつながる憩いのオープンスペース

BONUS TRACKは歩いているだけでも気持ちよく、賑わいを感じることのできる空間です。その魅力はどのようにつくられているのでしょうか。

開発エリア「下北線路街」では、街に不足している緑を増やし、街とのつながりを意識し、回遊性を高める空間と賑わいづくりを世田谷区と連携して進めます。(中略)「下北線路街」では、街をつなぎ、ひとをつなぐまちづくりの基盤の構築を通じて、特に地域の方々が楽しく参加できる仕掛けを行うことで、下北沢エリアの発展に貢献していきます。
(参照:小田急電鉄ニュースリリースより:https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001med9-att/o5oaa1000001medg.pdf

開発によって整備された通路は、歩行者のためにとても歩きやすく設計されています。本来ならできるだけ広く商業施設を建てたいところですが、地域の方々も日常的に通ることを想定し、歩道として使える十分なスペースが確保されています。

また、施設内の建物に挟まれた歩行通路側には、晴れた日にはカラフルな机と椅子が設置され、飲食や読書を楽しめる近所の憩いの場が生まれます。敷地の中なので、自由に椅子などを設置できるため、自由度の高い設えがされています。低層の建物に囲まれると、商店街の中にたたずんでいるような親密でリラックスした感覚が湧いてきます。
それと同時に、わくわくするような気持ちになるのは、この空間の使い方がオープンで、大型の商業施設とはちょっと異なるからでしょうか。都心にいることを忘れさせてくれます。

まちの変化への期待が生まれる場所

このBONUS TRACKは開業して日も浅いですが、日に日にまちの人々の生活になじんでいって、まちでの出会いが増え、交わって、新しい何かが誕生する気配が生まれています。個性的なお店や広場の他にも、スペースをレンタルできたり、まちづくりに関するイベントが開かれたりと、コンパクトな敷地の中に様々な魅力があります。

下北線路街の開発はもちろん、この新しい商店街での発展、成長していく様子がとても楽しみです。また、全長1.7kmの開発が終わったあと、沿線の町並みがどう変わっていくのか、小田急電鉄の開発そのものの取り組みからも目が離せません。

BONUS TRACK

世田谷区代田二丁目36番12号〜15号
https://www.facebook.com/BONUSTRACKSHIMOKITAZAWA
https://bonus-track.net/

フォトギャラリー

BONUS TRACK敷地外のスペース紹介(管理元:小田急電鉄)

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