前半では田町ビルの1つ目の取り組み、「田町屋上シネマ」の紹介をしました。後半では、2つ目の取り組みのご紹介、田町ビル的エリマネについて考えます。
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田町ビルが発行する情報誌「tamayura(タマユラ)」
田町ビルがもうひとつ力を入れている取り組みは、情報誌「tamayura(タマユラ)」の発行です。この情報誌は田町新聞というWEBメディアを運営している地元の制作会社と共に制作されており、年4回発行、今年6月にvol.8が発行され3年目に入ろうとしています。主におすすめの店舗、イベントの紹介等まちの魅力を伝える内容となっています。
取材の中で見えてきた田町の新たな魅力
田町駅前には多くのビルが立ち並び、駅前を大きな幹線道路が走り、ともすれば無機的なまちのように見えてしまいがちです。しかし今回の曽根さんから話を聞いて初めて知ったことですが、実は田町にはいろいろとおもしろい魅力にあふれたまちでした。
例えば、情報誌でも特集が組まれていたようにカレーをはじめ、外国人が運営している海外の料理店が意外と多かったり、スタートアップ企業も実は多いそう。「tamayura」はそういった地域資源等をもとにテーマが組まれています。
もっとこの地域のことを知るために曽根さん自身、取材に同行しているそうで「田町屋上シネマ」に出店してくれたカレー店は、実は「tamayura」の取材がきっかけで出店してくれたというつながりも生まれています。また、この情報誌は田町ビルが運営するビルのエントランス設置がメインですが、それ以外にも町会や地域の交流施設、過去に取材協力をしてくれた店舗等にも配布をしており、曽根さん自身が挨拶を兼ねて直接お届けに行くことで、田町ビルと地域関係者をつなぐきっかけにもなっているそうです。
ここ田町で長い時間を過ごしているビル入居者に田町のことをもっと知ってもらいたい、楽しんでもらいたいという思いが、この情報誌の発行につながっています。この冊子をきっかけとして、例えば会社の同僚を誘って出かける、会話がうまれるきっかけになったら嬉しいと曽根さんは話をしてくれました。
継続する上での課題と、継続させるための根拠
この2つの取り組みは、どちらも近隣地域とつながるきっかけをつくっています。今までも、CSRの一環として、同社のビル屋上で近隣園児を招いて菜園収穫を実施してきたそうですが、この2つの取り組みはCSRという観点からもう一歩踏み込み、自社ビルの屋上を拠点としたイベント開催や「tamayura」による情報発信によって、田町を魅力的にしている地域関係者とつながり、田町の魅力発信を試みています。またこの2つを実現させるために、複数部署と調整・協力できる体制があることは、エリマネと公言されていないもののまさにエリマネ的な取り組みだと感じました。
一方でこれらを継続していくことには難しさ、課題もあると曽根さんは話をしてくれました。当然企業であるからには、支出の理由・メリットを考える必要があり、本事業のお客様である入居テナントにも還元出来るような内容になっていなくてはなりません。
活動が長期化してくると、支出に対する効果をどうしても厳しく見られがちです。なぜ地域向けに開放イベントを実施するのか、タウン誌を発行しているのか。なぜお金をかける必要があるのか、なぜエリマネを実施するのか。目的と効果を明確にすること、どう効果を測り、その取り組みの受益者は誰で、誰がどういう風に受け取るのか。会社としてこれらに対する納得感が活動継続には大事なポイントになるのではないかと思います。
ただ田町ビルは今後、隣接する街区と合わせて2019年からオフィス機能を再構築、2023年竣工を目指す大規模再開発を控えているそうです。会社としても、これから再開発を実施しようとしている会社がどういう企業なのか知ってもらうこと、理解してもらうことも大事だと考えているということで、この2つの取り組みは田町ビルという会社や姿勢を知ってもらうためのよきツールに間違いなくなると考えます。会社の利益と地域とのつながりのバランスをどう見るかは、エリマネの課題のひとつだと思います。様々な取り組みにトライしている田町ビルが、今後どのように地域とのつながりを持っていくのか関心は尽きません。
今回インタビューさせて頂いたご担当者の紹介
株式会社田町ビル 営業部営業企画課 曽根慶則さん
・曽根さんのご経歴
印刷会社で営業を6年経験後、2008年に株式会社田町ビルに入社。入社後は営業課で主に顧客対応後、現在の部署が新設された際に異動。
・田町で好きなポイントは何でしょうか?
オフィスが多く有名企業も周辺に多いですが整備されすぎておらず、昔ながらの商店街や個人店などが意外と多くて、いい具合に雑多な感じが面白いです。
・現在興味を持って取り組んでいることは何でしょうか?
今回取り上げていただいたようなイベントや「tamayura」はひとつのアウトプットとしてお届けしていますが、当社が何を考えてこういった取組みをしているのか、普段どういったことを考えビルを管理しているのか、ご入居者や近隣の方々に当社の考えや想いとしっかりと伝えていきたいとは思っています。
会社の考えを継続的に発信していくことで当社への信頼感や共感を築くことができれば会社にとって資産になると思いますし、今後当社のビルに入居いただく会社さんにとっても、オーナーとのミスマッチを防ぐことにもなり、長期的な入居にも繋がっていくのではと思っています。
・これから田町がどんなまちになって欲しいですか?
今回記事で掲載いただいたように、知れば意外と面白い街だと思います。交通の便もよいので、大企業やその関連会社も多く、一方でスタートアップ企業も増えてきていますし、個性的な飲食店もありますし。
ただ、それらがいまよりも交わり、溶け合うことでまち全体としてさらに活気がでていくといいなと思いますし、そうしてワイワイしているうちに外からの評価や知名度もあがってきてくれたらいいですね。
会社名:株式会社田町ビル
住所:東京都港区芝五丁目34-7
HP:http://tmc-bldg.co.jp/