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身近な人の課題解決がまちを楽しくする!ねぶくろシネマの仕掛人、唐品氏の視点とは。

「野外上映会」の代名詞にもなりつつある「ねぶくろシネマ」をみなさんはご存知でしょうか。今回は、別荘リゾート不動産を扱うことを本業にしつつ、副業では全国各地の遊休施設を活用して野外上映会を行う「ねぶくろシネマ」や色々な課題を面白がるワークショップ「面白がる会」など数多くの事業を手がけている合同会社パッチワークスの唐品さんにお話を伺いました。

自分の家族の課題を解決しようとしたら、偶然「まちづくり」につながっただけ

今や全国各地で開催されている「ねぶくろシネマ」を始めたきっかけは、自分の子どもと一緒に落ち着いて映画館では映画を見られないという家族の小さな課題からスタートしたと語ります。そしてその課題は、決して自分の家族だけのものではなく、友人や仲間の家族の課題でもあることに気付き、さらには街に住む多くの人の課題でもあるのではないか、と「社会の課題」に繋がっていきました。その解答として「誰もが参加できる人気イベント」が誕生しました。

多摩川河川敷の橋脚に映写する屋外映画は、子供たちが走り回っても、映画中大声で笑っても問題はありません。身近な課題をどうにかしようという想いが傍からみると偶然「まちづくり」になっているだけ。しかし、その想いは街に受け入れられ、いまは調布駅駅舎の壁面に描かれるまでになりました。「まちづくり」とは、「みんなの課題解決のプロセス」でもあるのかもしれません。

ちょうどいい空気とコミュニティを作り、参加者の熱量を上げる

唐品さんは独身時代、なんでも一人でこなされてきたそうですが、家族ができてからは、モチベーションや考え方は家族を軸としたコンテンツづくりにシフトしたそうです。そして身近な人の課題を解決するためにはどうしたらよいのか、といった発想から生まれた課題解決をテーマとした集まりが「面白がる会」として生まれました。

「個人の課題はみんなの課題でもある」というねぶくろシネマでの発見に基づき、共通のテーマについて、参加者が面白がることで解決していきます。ルールは単純で、テーマを面白がる。つまり前向きに発想し発言していくこと。

面白がる会は大手不動産会社からの依頼も多く、「○○エリアを街歩きしながら面白がる会」を実施したり、モノや体験、肩書などを多岐にわたるものをテーマとして、様々な題材を取り扱っています。お題となるテーマは、不動産に留まらず、恋愛・山のオーナー・父親・PTA・選挙などジャンルを問わず多種多様のテーマでイベントが開催されています。

ちなみに、このイベントの名前にある「面白がる」という言葉には「ちょうどいい」を込めたそうです。飲み会の延長線上と会議の真ん中くらいの空気感を作り出し、熱が入ってきたところで参加者が自分ゴトになるように調整することこそ、唐品さんの狙いだったりします。

ないものを創る。ブランドをつくる。

唐品さんが事業を始める際の判断軸は、まず「自分がやるべきかどうか」「子どもや家族のためになるか」ということだそうです。前職のリクルート時代に身につけた、「業界の穴や隙間を狙ったビジネス展開」が現在に活きていて、今では見つけた課題に対しても、「ないものを創る、あるものはやらない」といったご自分のポジショニングを意識しているそうです。

また、もう1つ気を付けていることは、「ブランドをつくる」こと。
言ってしまえば、プロジェクターと投影するものがあれば成立する野外映画は、ブランドとしての価値を高めるために、コンセプトや世界観を作り込むことを心掛けているそうです。唐品さんが手がけるものにはどれもロゴやキャッチコピーが洗練されています。過去開催のねぶくろシネマのチラシは手にとってもらいやすいサイズで制作され、会場の空間特徴と映画のシンボリックなキャラクターを掛け合わせたオリジナルのデザインに仕上がっており、手に取る方もついつい笑顔になってしまうほどです。こうしてつくり上げられたブランドに共感した企業が協賛を行い、イベントが実現されます。副業だからこそ、しっかりとパートナーを選ぶ、共感頂けないならお断りすることもあるとのこと。請負仕事で自分の価値を浪費するのではなく、ブランドとして創り上げるからこそ、そのイメージに共感した出資者がプロジェクトに賛同し、まちの価値を高めるパートナーとして選ばれているのだと感じました。

ハードを超えた先、ソフトが価値を高めていく。

「これからの時代は個人でできることが多くなる時代だからこそ、そろそろ野外上映会は誰でもできるものになっていくだろう」と唐品さんは予想します。一方で、まだ、個人ではできないこと、例えば建物を解体するまえに行う建物のお葬式「棟下式(むねおろしき)」のようなイベントは必要とされていくだろうと話します。今まで多くの人が注目しなかった、「建物がなくなること」をイベント化することで、建物を利用した人たちにお別れと感謝を伝えてもらいそこの建物があったという思い出を作ってもらうことを目的とします。そんな「棟下式」を行うデベロッパーは、土地の歴史や想いを大事にしている会社だということがまちの人にも伝わります。「棟下式」をすることで、新たに建てる建物に対する受け売れ方が変わってくることもあるそうです。
この話を聞いて、たった1つの建物であったとしてもその土地が受け継いでいる大事なストーリーを表現し共有することで、まちの人に新しい形で愛着を生み出すことができる、とまちづくりのヒントを得ました。

これからのビジネスをつくるヒント

最後に、唐品さんの次のチャレンジについてお話を聞きました。これからは子供たちが仕事を体感できる場所や、新しい仕事を作っていく教育に力を入れたいと語ります。今の唐品さんにとって一番のクライアントは、お子さんなのかもしれません。家族の中に見つけた課題は実は隣の家庭も同じことで悩んでいるかもしれない。一緒に解決したい人が繋がり、そこにコミュニティとなる要素をプラスすると、やがてムーブメントが渦巻き始める。それをビジネス化していく。そんなサイクルこそが唐品さんが見据えるこれからの時代なのかもしれません。
唐品さんのお話を聞き終え、年齢や状況、人生のステップによって出くわす課題をうまく面白がっていくと新しいビジネスが生まれてきそうな気がしました。社会の穴を見つけて埋める、唐品さんのまわりには面白いことがたくさんありそうです。ご興味がある方はぜひ一緒に面白がってみてください。

プロフィール 唐品知浩さん

1973年生まれ。東京都出身。旅行会社勤務の後、リクルートへ。別荘系不動産広告営業に15年間携わる。その後独立し、別荘・リゾートマンション専門の不動産ポータルサイト『別荘リゾートネット』の運営を開始。個人のホールディングス化を合言葉に、小屋を製作する部活『YADOKARI小屋部』。まちをリデザインする集団『合同会社パッチワークス』。課題解決型ブレスト飲み会「面白がる会」など数々のプロジェクトを生み出していく。

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