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日常使いの新しいオープンスペースへ!広島RIVER『みんなの』MARKETでの取り組みとは

 新型コロナウイルス感染症の流行によって新しいライフスタイルへの転換が求められている中、密を避けた形で過ごすことができる屋外空間の活用にますます注目が集まっています。エリアマネジメント活動としても、このような流れを上手く取り入れていきたいところではないでしょうか。 

 そこで今回は、2021年10月16日と17日に行われた⽔辺空間活⽤の社会実験「RIVER『みんなの』MARKET」(以下、RIVER MARKET)を主催した広島駅周辺地区まちづくり協議会事務局の吉田実さん(公益財団法人中国地域創造研究センター)と野澤功平さん(同左)にお話を伺い、この取り組みについて振り返っていただきました。 

新たな駅前空間の活用を目指して 

 同協議会では元々「広島駅×猿猴(えんこう)川プロジェクト」と呼ばれる取り組みを行なっており、広島の特徴である「川」を活⽤した「居⼼地の良い⽇常使いの場」をつくることによって、新しいライフスタイルに対応した駅周辺のオープンスペース活用を提案していました。

広島駅前を流れる猿猴川 (フォーカスの都合上、猿猴橋を指定しています)

 2021年3月にはソーシャルディスタンスベンチの設置を含む河川空間活用の社会実験「猿猴川テラス2021」も行なっており、今回開催された「RIVER MARKET」はそれに続いたものとして位置付けられます。ソーシャルディスタンスを確保しつつ、川辺にテーブルやチェア等を設置し、日常的な憩いの場として川辺空間の活用を演出します。併せて、飲食店等の支援もかねたフードトラックの出店や出し物も盛り込むことで、川辺空間をマーケットスペースとして活用する可能性についても検証したとのことです。

 広島は “水の都” と呼ばれるほど川が多く水辺に親しみやすいまちです。水辺空間の活用や河川でのオープンカフェなどは全国に先駆けて行なってもいました。

 ただ、そのような活用も広範には浸透しておらず、特に広島駅の近くにある猿猴川では駅を降りた人が身近に川を感じる機会も少ないので、この川を駅周辺の資源として活用していけないかと思い企画しました。

 去年度に実施した社会実験「猿猴川テラス2021」では、そもそも猿猴川の知名度が低いこともあり、ランドマークの意味も込めて「HIROSHIMA」の文字が型取られたロゴベンチ(HIROSHIMAソーシャルディスタンスベンチ)を設置し、待ち合わせ場所としての活用やSNSで発信することで認知向上に努めながら、テーブルやチェアなどのファニチャーを設置し、ソーシャルディスタンスを意識した日常的な憩いの空間としての活用の可能性を検証しました。

 今年度はイベント的な要素も取り入れて検証したかったこともあり、小規模ではありますが物販や飲食店支援もかねたフードトラックを設置したり、けん玉やポン菓子、DJの選曲によるBGMなどのパフォーマンスにも趣向を凝らしました。
 このような形で、猿猴川一帯の活用をよりしやすいものにしていければと考えています。

現状の課題と得られた気づき

 これら社会実験の会場となっているのは「川の駅」 と呼ばれる水上交通の発着点として整備された広場になります。にぎわい空間として活用するために多目的スペースや芝生も備わった場所ですが、課題となる点もあるようです。

 協議会としては、「居心地の良い日常使いの場づくり」というコンセプトでこのような河岸緑地を活用し、イベントによる短期的な効果だけを見込むのではなく、いわゆる新しいライフスタイルに対応したような新しいオープンスペースの使い方を提案していきたいと考えています。 

 ただ、川の駅自体は広場も整備されていて非常に景観も良い場所ではあるのですが、知名度がとても低い上に、コロナ禍もあってイベント利用なども少なく上手く活用されていない状態でした。協議会としては将来的にこの区域を貸していくことも構想しているため、ターゲットを検討するためにも一連の社会実験によってどんな貸し方ができるか検証する意味合いもありました。

 そのような背景のもと「広島駅×猿猴川プロジェクト」は推進されているようですが、今回の社会実験で集めたアンケートの結果、商業施設利用者のほか、近隣在住の方々からイベント実施に関してポジティブな意見を得られたそうです。 

 一方で、現状では場所の認知度や、それに伴う出店者の収益性には課題もあるようですが、中には売り上げを確保できた出店者様もいらっしゃるそうなので、引き続きイベント場所として提案する意義は感じているとのことです。

 あくまで「日常使い」がコンセプトなので、日常的な使い道をいかに提案していくかが大事だと考えています。認知度が低いことによって、出店できることさえ知らない方も多いのが現状ではありますが、継続的にこのような活動を行うことで、多種多様な事業者様の参加が期待できると改めて感じました。

エリアとして盛り上げるために

 今回の社会実験も含めて、協議会の活動エリアとなる区域は主に広島駅南口周辺エリアとマツダスタジアムを中心とした球場周辺エリアになります。エリア全体を通してみた時に、今後どのような活動を考えているのでしょうか。

 課題感として持っているのはエリアの回遊性を高めることです。現状の広島駅周辺は、どちらかといえば通過点として使われる場合が多いなと感じています。ただ、近年の駅周辺の再開発によって商業機能や業務機能の集積が進んでおり、駅ビルの建て替えなども進められているので、そこに集う人たちが外に滲み出して地区全体として回遊性が高まるような取り組みをしていこうという機運があります。
 まだ具体的なアクションにまでは落とし込めていないですが、このエリアには様々な広場やスポットがあるので、それらと上手く連携していきたいですね。

 また、協議会としても自走できるような組織にしていきたいと考えています。エリマネの本来の意義を再認識しつつ、複数の企業が上手く連携してやっていくような形で自走できればと。そのためにも、こういった公共空間をうまく活用して収益化を行い、財源を確保していくことを目標として取り組んでいきたいと思っています。

 現在行われている駅周辺の再開発は2025年を一つの目処としているそうです。これから新しくなる広島駅周辺をエリア一体で盛り上げていくためにも、現在の取り組みがあるのですね。ぜひ今後の活動に注目していきたいところです。

広島駅周辺まちづくり協議会
http://www.ekimachi-hiroshima.jp/index.html

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