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“有事の時だからこそ人と人の繋がりを”新時代の大規模マンション自治会インタビュー

数年前の夏祭りのボランティア集合写真。みんなお揃いのポロシャツで一体感が増している

新型コロナウイルス感染症が拡大して以来、私たちの生活様式は大きく変わりました。ワーク・ライフスタイル共々強制的に変えられ、まちでの活動を自粛された方も少なくないと思います。そんな中、横浜市磯子区の横浜プリンスホテル跡地に建つBrillia City横浜磯子で活動する“おっきなまちの小さいな自治会”があります。世の中で様々な活動が自粛されている最中、この自治会ではコロナ禍でも理念は自粛せず、オンラインを活用したイベント「Jichikai TV」を開催し、なんと300人以上が参加した新しい地域活動を成功させました。 今回は新しい住民の交流のカタチを仕掛けたBrillia City横浜磯子自治会長の田形さんにお話を伺いました。

自治会レボリューション!
独自のタウンマネジメント手法で活動を行う磯子ブリリア自治会

既存の枠に囚われず、Brillia City横浜磯子自治会(以下、「磯子ブリリア自治会」)はオンラインイベント「Jichikai TV」など様々な活動を行なっていますが、そもそも自治会の役割は何でしょう。
以下、総務省による自治会の定義です。

○ 町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体
○ 区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行っている

(引用先:「自治会・町内会とは? – 総務省」より)

自治会は、民間の任意団体で一定の区域に住んでいる人たちによる自発的な住民組織になります。一定の区域を活動範囲とし、その区域に住んでいる人は誰でも会員になることが可能となります。会員からの会費、行政の補助金等を財源とし、総会で議決された予算に基づき、町会・自治会の目的に添って活動を行っていきます。
防災訓練や清掃活動、祭りの運営などが代表的な活動と言えますが、磯子ブリリア自治会も例外ではありません。ですが、全国標準加入世帯数が約200世帯に対し、当自治会には1230世帯のマンション住民が入会しているにも関わらず、役員の数はなんとたったの17名。標準世帯の6倍以上の加入数をどう取りまとめ、イベントなどの活動を行なっているのでしょうか?

私達自治会は役員17名で、サポートスタッフ含めて約20名体制で組織を運営しています。1230世帯に対して20名ほどの少数で運営しているので自分たちで「おっきなまちの小さいな自治会」と呼んでいます。
ですが、イベント開催時などは私たちの活動などに共感した住民の皆さんがボランティアで手伝ってくださっています。自治会立ち上げ当初の3年前に開催した夏祭りでは30名程度でしたが、現在では140名の方々にサポートしていただいています。とても有難いことです。

自治会のことで聞かれることが増えたのでプレゼン用の資料を作ったんです。と田形さん

たった3年で100名以上の住民が自治会の活動に賛同して一緒に活動されるようになったその秘訣は何でしょうか?

「自治会」と聞くと皆さん大体マイナスなイメージが先行しますよね。例えばYouTubeで「自治会」と検索すると“辞めた理由”だったり“面倒くさい”などデメリットやネガティブな印象を与える動画ばかりが出てくるんです。
そんな折、前・自治会長から次期会長の座を推薦していただいたので、今までの自治会のイメージを払拭する「みんなが参加したくなるような運営方法を目指そう!」と思い立ちました。
新しい時代に相応しい自治会にしたいという思いで私たちのタウンマネジメント手法に「自治会レボリューション」という奇抜なネーミングを付けました。

自治会レボリューションとは、「コスト→報酬→愛着UP」の実体験を通じて「街へ貢献することの心地良さ」を住民の皆さんに提供しながら、住民の手で街を活気づかせる、磯子ブリリア自治会独自のタウンマネジメント手法です。
コスト=自分の街のために費やした時間や汗の分だけ、報酬=参加者の笑顔や労いの言葉がもらえることで、自分の街への愛着がより醸成されるのではと考えて活動しています。そしてこのような愛着を抱いた住民には、「また次回も街に貢献してみよう!」という思いが湧いて、継続的な自治会組織の運営が可能になるのです。
また、当自治会にとって住民は“お客様”ではありません。あくまでも住民の皆さんを“まちの担い手”として捉えて活動しています。なので、まずは自治会の活動に興味を持っていただけるよう、総会議案書に活動の写真や自治会メンバーの写真をたくさん掲載し、イベント開催時には自治会やボランティアメンバー全員が同じポロシャツを着て活動したりと、一体感だったり楽しさを分かっていただけるような工夫を凝らしています。

リアル活動は自粛しても、理念は自粛しない!「Jichikai TV」の発足

まちのための活動を年間数多く実施している磯子ブリリア自治会。まちの一体感が醸成されてきた最中、2020年4月に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発出されました。
緊急事態宣言が解除された後も、人々の物理的な活動は制約され続けていますが、磯子ブリリア自治会は活動を止めませんでした。

コロナ禍だからこそ、人と人の繋がりを絶やしてはいけないと思ったんです。イベントなども人との繋がりを感じる役割として大切なコンテンツですが、有事の時こそ自治会は人と人を繋げる役割を果たさないといけないなと。私だけでなく、他のメンバーもこの考えに賛同してくれました。「リアル活動は自粛しても、理念は自粛しない!」という思いで、三密回避と街の一体感醸成の両立を考た結果、1つのアイディアとして出てきたのがオンラインイベント「Jichikai TV」でした。

と、田形さん。とはいえ、オンラインでの開催は年齢層が上がるにつれてハードルが高くなるもの。そこで磯子ブリリア自治会は全世代が参加できるようにと安全に配慮しながらオフラインで「Zoom接続支援会」を開催するなど、オンラインに不慣れな住民を取り残さないことを意識した活動も並行したのだそう。
「Jichikai TV」は計9番組構成され、企画から制作・放送まで全てを自治会スタッフが約5ヶ月かけて作り上げました。「Youは何しにブリリアへ?」や「ブリリアの果てまでイッテQ!」など地元目線の情報が詰まった番組を放送したほか、感染症防止策を講じた上で上映会場を設置。老若男女全ての世代が楽しめるイベントを目指しました。
言ってしまえば、取材も編集も全て素人の手作り。出演者がセリフを噛んでしまうのは当たり前。でも、そうやって誰かが相手のことを想って汗をかいて作ったモノは、その温もりが受け手に伝わりますよね。平均視聴率が10%(※自治会独自調査の結果)を超えたのも、視聴者に温もりがしっかり伝わったからこそだと感じました。

型にはまらない。新しい自治会のあり方を

田形さんは続けてこう話します。

マイナスなイメージが先行する自治会は今まで「〜しなければならない」精神が強かったんだと思います。だからその概念を壊してみんなの「やりたい」ことを尊重しました。なので、「〜しなければならない」と義務感を背負ってしまうようなことはやらないようにしました。皆バックグラウンドが違うのだから、家庭環境も考え方も違うのは当たり前なんです。その多様性を尊重して活動していくことはとても大切だと思っています。

役員のモチベーションを大切に、そしてモチベーションから発生する“コスト(=活動に費やした時間・労力)”が関わった住民の共感や感動を生んでいるんですね。

私は住民へいわゆる“サービス”を提供してはいけないと思っています。サービスとなると自発的な活動をする人が生まれないんですよね。自治会がおもてなしをするのではなく、自分の街に貢献する楽しみを知っていただく活動をする。それが重要なのではないかなと思っています。一緒に作り上げて、成功や感動を共に体験することが、まちづくりに必要な要素ではないかと思っています。

「リアル活動は自粛しても、理念は自粛しない!」。人との繋がりが断たれる災害が起きている今こそ地域のつながりと防災を担う自治会が真価を発揮する時だ。
そんなモットーを掲げて活動をしている磯子ブリリア自治会。
どの分野でも言えることですが、「義務感(外からの過度な期待)」から発生する行動には上限がありますが、磯子ブリリア自治会は「モチベーション(内からのやる気)」を活かしているからこそその波動に寄せられて、賛同者や協力者が集まってくるのですね。 コロナ禍以降も、リアルとオンラインの両輪で活動を実施していきたいと意欲的な田形さん。今後の活動にも注目です。

田形勇輔(たがたゆうすけ)さん
Brillia City横浜磯子自治会長・横浜BBQ協会上級BBQインストラクター。大きな肉を塊のまま焼く本格的なBBQスタイルを地域に導入したことがきっかけで、30代で3000人の街の自治会長に就任。夏祭りで多くの住民ボランティアが楽しく汗を流す姿をヒントに、独自のタウンマネジメント手法「自治会レボリューション」を考案。役員の担い手不足に悩む自治会・町内会が多い中で、アクティブに活動を楽しむ役員が増加中。ITツールを導入してコロナ禍でも活発な活動を継続するなど、新しい時代にふさわしい自治会・町内会の姿を開拓している。

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