近年、さまざまな社会状況が重なり、地方創生事業に注目が集まっています。そんな中、地方と都市を有機的につなげながらまちづくりを行い、生産者と生活者がダイレクトにつながる食のプラットフォームをめざしたガーデンレストランが新宿にあります。それが「バスあいのり3丁目TERRACE」です。
そこで今回は、この施設に立ち上げ当時から携わっている、東邦レオ株式会社の原田宏美さんにお話を伺いました。
原田さんは東京各地のビルのリノベーション事業を手掛けていますが、オンラインで仕事ができる時代になってきたことや、子供がのびのびと生活できる場所に行きたいという理由から山梨県小淵沢に引っ越し、現在東京と山梨の2拠点ワーク生活を送っています。そのような状況もあり、全国の物品や技術や人を行き来させながら、日本の魅力を新宿に届け、新宿のような都会からまた地方に運ぶ、というコンセプトが原田さんの興味と合い、このプロジェクトを担当されたそうです。
日本一のターミナル駅新宿だからこそできること
始まりは、株式会社アップクオリティが全国の高速バスを使って地方から都市へ、都市から地方へ、安価に希少価値の高い物品を運ぶという流通システムを開拓しており、新宿というターミナル駅に地方の魅力ある食材を味わえる場所を作れるのでは、という構想から三菱地所株式会社と共に事業がスタートしたようです。そのような中で、具体的な企画やにぎわいづくりを進めていくために、原田さんを含む東邦レオが関わることになったとのことです。
現在、高速バスのシステムは全国で56路線使われており、日々都内に向けて様々な物品が運ばれています。そして、テラスでは地方の産品を味わえるようなメニューを提供しています。
「バスあいのり3丁目TERRACE」名前の由来
高速バスでただ人を運ぶだけでなく、空きトランクスペースに、物やコトを一緒に運んできて、広がりを作っていきたい、という意味が込められている「あいのり」。
色々な方々が訪れ、そこでの新しい出会いをイメージするために、「オープンな場所」という意味合いで付けた「TERRACE」。
地方から東京への上り便だけではなく、下り便でも地方の魅力を感じた人達が都会から地方に運んでいく繋がりも生み出していきたいという想いがあるそうです。
PR活動による地方への貢献
地方とカフェテラスのつながりは食だけではありません。どの席からも見えるデジタルサイネージを使って地方のプロモーションを行い、それに紐付いたイベントをキャンペーン的に開催することで、ショールーム的な場所としても活用されています。新型コロナウイルス感染症の影響で地方への足が止まってしまった中においても、地方と都市の接点を保つことができるので、地方の方からも非常に喜ばれる施設になっているそうです。
私たちとしてなぜここのプロジェクトに携わったかというと、地方と都市を有機的につなげながらまちづくりをしていきたいという思いがあったことや、この施設のデジタルサイネージを使いながらオンラインでイベントをしたり、地方の方とセッションをしたり、そういった形でデジタルを上手く使いながら、この先のコミュニティを作っていくっていうチャレンジにもなると思ったからです。
人との繋がりを生み出す場所へ
この施設は、都会の中に緑のオアシスを作り、居心地良く滞在していただきながら地方の魅力を感じてもらう、というコンセプトで空間設計されています。
空間的なしつらえとして、カフェテラスは屋外に開けており、イベント開催時などは音楽などからの様子が緩やかに伝わることで、外の人を引き寄せやすくなるとのことです。そうして新しい出会いや繋がり、偶然の体験を味わえることが、この場所の魅力だと原田さんは語ります。
そのような貴重なスペースなので、これからは企業だけでなく、親子連れや地域の人を対象にしたイベント利用でも使える場所にしていきたい、とも話します。
新宿に昔からいらっしゃる方々とつながってこの地域を盛り上げていくということにも力を入れています。 特に室内ではコロナの影響でイベント開催しづらい状況もありますので、主には新宿で活動されている方にこのオープンエアのテラスでパフォーマンスをしていただいたり、イベントをしていただいたり、と皆様に喜んでいただける場所を提供しています。
コンセプトである「ここの場所を運営している間に、100の物語を紡いでいきたい」 これは単に食べて終わりということではなく、ここを起点に地方とつながり、何か新しいことが始まっていくということでもあるので、これからも大事にしていきたいです。
目指していきたいこと
さいごに、今後の活動への想いを語っていただきました。
(新宿) 3丁目を中心として、このエリアの魅力アップへと将来的には繋げていきたいです。また、地方と都市をつなげていくようなライフスタイル事業を他の事業と連動させることで活動の幅を広げていきたいですし、切り口についてもデジタルとリアルなどを組み合わせていければと思っています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、人とのつながりが減ってしまった社会で、このような地方と都市や、人をつなぐ取り組みはより必要とされていくのではないでしょうか。今後もイベントや活動に期待していきたいですね。
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