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まちイベントで地域のにぎわいと活性化を実現(オーストリア・リンツの事例)

アルスエレクトロニカフェスティバル

オーストリアのリンツにて毎年開催されるアートとテクノロジーが融合したメディアアートイベント。2017年も9月7日~11日で開催されました。https://www.aec.at/about/jp/

 

リンツについて

リンツと言えばドナウ川沿岸のオーストリア最大の工場集積の街です。しかし80年代以降は鉄鋼産業が衰退し失業者が街に溢れた時期もあったそうです。そこで、新たなまちづくり像として最新のテクノロジーとアートを融合させた「アルスエレクトロニカ」というアイディアのもとで様々な取り組みを行い、じわじわと街の再生を行ってきました。

今では、ドナウ川のほとりに鎮座するアルスエレクトロニカセンターをはじめとして、街の至るところにミュージアムやカルチャーセンターがあります。近年はメディアアートの殿堂として世界中から観光客が訪れます。

 

同時に街並みも整備され、公園、駅前、ドナウ川へ通じるストリートはトランジットモール化され、LRT(低床式路面電車)が走りとても賑わっています。

 

まちイベントが世界中から人を集める

そんな中でまちが最も盛り上がるのが、毎年9月に一週間開催されるアルスエレクトロニカフェスティバルです。リンツ中央駅の隣にある巨大物流センターを館として、地下から屋上までベルトコンベアやシューターなどをそのまま利用した会場です。日本では安全上考えられない空間に驚きながら、迷路の様な順路を宝探しの様に巡ると様々なジャンルの作品に出会います。

 
 

よくあるアートイベントとはちょっと趣向が異なるこのイベントは、展示作品だけでなくフォーラムやワークショップ、ディスカッションなどがあちこちで開催されます。様々な国籍の参加者が一つのテーブルで議論しているシーンを見かけます。また、Under 19のブースでは学生達がなにやら真剣にものづくりをしています。

 

作品は屋内に限らず、街のあちこちで見ることが出来ます。広場では脳波をコントロールしてパワーショベルの操作をする体験会や、大聖堂内では巨大な煙突の様な作品にプロジェクションされた光が人びととシンクロして変化します。

ドナウ川がクライマックスステージ

そして夜のクライマックスは、ドナウ川の公園でのライティングパフォーマンスです。市民総出でイベントを待つ様子は、まるで東京多摩川の花火大会の様です。イベントはドナウ川を巨大なステージとして、光と音楽とダンス、そしてヘリコプターまで登場するスペクタクルです。最後は打ち上げ花火が派手にあがってフィナーレ。その後も河川敷クラブよろしくガンガンに音楽が流れて、イベントはいつまでも終わりません。

サスティナブルなまちイベントの実現

アルスエレクトロニカに限らず、まち全体を会場としたアートベントは世界各地で開催されています。日本でもビエンナーレや芸術祭として、特に地方で多く開催されるようになりました。

しかしそのなかには、人気作家の寄せ集めのものや、事業費が続かず単年で終わるものも少なくありません。

まちイベントは、関わる人や会場が広がるほどに運営も難しく費用もかさむものです。やるからには、リンツの取り組みの様に時間をかけて着実に育てていく気概が必要です。

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