普段の公園の使われ方
みなさんが住んでいる家の周辺や職場の近くに公園はありますか?お昼休みに気分転換に立ち寄ったり、休日には散歩したり子どもと一緒に遊んだり、季節によっては屋台や盆踊りなどの地域イベントが思い浮かびます。普段から公園でイベントを開催しているわけではありません。しかし、公園でイベントをすることは難しいのでしょうか。
都市公園法での規制
公園に関する法律として「都市公園法」という法律があります。公園に関する様々な規制がされていると思われがちですが、実はそれほど規定は設けておらず、公園管理者の許可さえ得られれば公園の占用利用や販売行為は可能なのです。
都市公園法
第十二条 国の設置に係る都市公園において次の各号に掲げる行為をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、公園管理者の許可を受けなければならない。
一 物品を販売し、又は頒布すること。
二 競技会、集会、展示会その他これらに類する催しのために都市公園の全部又は一部を独占して利用すること。
三 前二号に掲げるもののほか、都市公園の管理上支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
月島第二児童公園や東池袋中央公園などの事例
ここ数年で公園を積極的に活用し、地域の賑わいづくりやその地域のイメージづくりやイメージアップに貢献しているイベントも増えて来ました。例えば、普段は近隣の方や多くの子どもたちで賑わいを見せる「太陽のマルシェ」。日本最大級の食べる・買う・学ぶ・体験ができる新しい都市型マルシェで、全国から毎回約100店舗が集結する日本最大級規模を誇ります。勝どき駅からすぐの月島第二児童公園で毎月第二土曜日・日曜日に開催されており、2013年9月の初開催以来、近隣に住む方の交流の場というだけではなくわざわざ訪れるファンも多いイベントです。
また、毎年恒例となっている池袋の代表的イベントのひとつ、「池袋ハロウィンコスプレフェス」には毎回1万人以上のコスプレイヤーが参加します。このイベントは池袋東口エリア一帯が会場となっていますが、メイン会場のひとつとして公園が活用されています。「東池袋中央公園」や「中池袋公園」では大規模なステージセットやテントが設営され、コンサートやショー等様々なイベントが実施されています
ほか、渋谷区にある神宮通公園や宮下公園ではキッチンカーが日常的に営業しており、公園を訪れている人や周辺で働く人たちへドリンクやフードなどを提供しています。
さらなる公園活用の促進
このように公園活用の機会は増えて来てはいますが、さらなる活用を促すため、2017年6月都市公園法が改正施行されました。特徴的なことは、公募設置管理制度通称「Park-PFI」の創設です。今まで民間事業者による営利活動を行うことは難しいとされてきましたが、簡単にいうと、公園内に民間施設を設置することができ、営利活動が実施しやすくなったということです。但し、条件として「園路、広場等の公園施設(特定公園施設)の整備を一体的に行うこと」とされていることから、負担も発生することを考慮しなくてはなりません。
全国初の大規模Park-PFIを導入する名古屋市の「久屋大通公園(北エリア・テレビ塔エリア)整備運営事業」が2017年10月より公募していましたが、2月13日に事業者が決定をしています。飲食店・売店等の収益的な施設を設置するとともに、久屋大通公園(北エリア・テレビ塔エリア)全域にわたり園路や広場等の一般的な公園施設の整備及び管理運営を行うという内容です。
公募設置管理制度(Park-PFI)
○都市公園において飲食店、売店等の公園施設(公募対象公園施設)の設置又は管理を行う民間事業者を、公募により選定する手続き
○事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、事業者 には都市公園法の特例措置がインセンティブとして適用される引用:国土交通省「都市公園法改正のポイント」
注目を集める南池袋公園
南池袋公園では、都市公園法第5条第2項第2号に基づく公園の設置等許可を受け、賑わいの核となるカフェレストランが民間事業者によって公園内にて運営されています。カフェレストランの1階には災害用の備蓄倉庫が用意され、2階は地域貢献施設となっているほか、防災イベントへの参加や商店会への入会も設置等許可の条件になっており、商店会、町会、隣接地権者、学識経験者等、豊島区から構成される「南池袋公園をよくする会」の活動にも参画しています。この会の活動財源として、カフェレストランの売上げの0.5%支払われイベント等が実施されています。単純にカフェレストランを運営するだけではなく、地域の一員としての役割も望まれているのです。
ご紹介してきたように、公園が単なる憩いの場所として利用されているだけではなく、様々に活用されている事例は少しずつ増えてきてます。公園維持管理のための自主財源獲得などの様々な課題はありますが、街に賑わいをつくっていく核として公園活用は今後もますます進んでいくのではないでしょうか。戦後、数多くの公園が整備されてきました。それらの公園が更新を迎えるタイミングで、このような新しい制度が今後活用されていくことを期待したいです。