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【イギリス】インタラクティブな交差点が見せる未来の道路環境

各国の都市部が抱える深刻な問題の1つに慢性的な交通渋滞があります。2020年に開催される東京オリンピックにおいても、交通渋滞は1つの課題として取り上げられています。都市部固有の課題を解消する方法となるかもしれない取り組みをご紹介します。

「人」にフォーカスした交差点Starling Crossingとは

イギリスのロンドンに拠点を置くデザイン会社Umbrellium(アンブレリウム)は、道路使用者である歩行者、サイクリスト、ドライバーに対して安全を確保するために、オンタイムで動的に対応するインタラクティブな交差点Starling Crossing(STigmergic Adaptive Responsive LearnING Crossing:環境情報適応反応型交差点)を開発、実現に向けテストを行っているそうです。Starling Crossingはスマートに人々の知覚へアプローチし、歩行者・サイクリスト、車の安全性を強化することを目的としています。

自由自在に変わる「交差点」がつくる、安心安全な道路環境とは

この交差点システムは滑り止めが施されたLEDスクリーンで出来ており、すべての時間、あらゆる角度、すべての気象条件下でよく見える道路標識・色を表示します。また、時刻、気象条件、予測される道路利用者行動、そして道路利用者のニーズに応じて、多くの形態を取ることが可能となっており、道路使用者の行動に一致するように交差パターンを配置することが可能となるようです。

歩行者の交通量が少ない朝と夜間は、歩行者が通りに近づくまで横断歩道が現れることはなく、逆に混雑している時間帯には横断歩道が現れたままになるそうです。さらに 歩行者の流動が多いエリアやピーク時には横断歩道はさらに幅広く多方向になり、歩行者が複数の方向に向かうことが可能になります。雨天時には、横断歩道の周りにバッファーゾーン(緩衝ゾーン)を形成し、歩行者と車の間に安全な距離をつくることができます。

このシステムは人にフォーカスしたシステムであると同時に、サイクリストや車のドライバー同様ににも交通指示を行うことができます。歩行者が道路横断中にはサイクリストと車のドライバーに向けていつ、どこで停止するかを示すことができるほか、すべての道路利用者の位置、軌道や速度、どこに向かって移動するかという予測をたてることも可能です。例えば子どもが遊びに夢中になり道路に飛び出すと予測した場合、近づいてきたドライバーに警告し、子どもの周りに緩衝ゾーンを作ることができます。また、横断中にスマートフォンを使用している歩行者には、道路を点滅させることによって警告することが可能なほか、サイクリストやドライバーの死角に入っている歩行者がいる場合は道路を点滅等させることによって警告も可能になっています。

子どもが急に車道に飛び出した際にはその行動を察知し、「赤」のLEDライトが点灯。周囲に危険を認識させる機能

各国の大都市でも起こる慢性的な渋滞解消に対する課題

アンブレリウムの共同設立者であるウスマン・ハク氏は、ほとんどの交通テクノロジーは、車や交通管制システムなどの「モノ」にフォーカスしていて、「人」にはフォーカスされていないことに気付き、この開発のきっかけになったと言っています。Starling Crossingは今後の交通渋滞問題の解決に大きく貢献するでしょう。しかし、このシステムを実現化させるためには視覚障害者のための可聴信号を追加するなど、まだ多くの課題が残っており、実現までにはまだ時間がかかるそうです。Starling Crossingの「people first」を念頭に置いた開発は、賑やかな都市をより住みやすくするための一歩となり、道路の(公共空間)活用方法が変わるきっかけになることでしょう。


引用:http://popupcity.net/47368

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