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下町・亀戸に生まれる新しい地域のつながり「Be ACTO亀戸」インタビュー

江東区亀戸 ― 亀戸天神や商店街、餃子やホルモンといったグルメなど、下町感がただようエリアです。 その亀戸の駅すぐそばで、この4月に大型の開発プロジェクトが完成したのをご存知でしょうか。 それが、商業施設のKAMEIDO CLOCK(通称カメクロ)とマンションのプラウドタワー亀戸クロスです。

注目なのが、この施設でエリアマネジメントが取り組まれていることです。 それを担うのが、亀戸クロス内のスペースを拠点に展開しているBe ACTO亀戸。 野村不動産が手がける「地域につながるオープンコミュニティ 」Be ACTO (ビーアクト)の最新事例になります。

同社に所属しながら一般社団法人ACTO亀戸の事務局長を務める柴田慎介さんと、同じく事務局の長谷部尚子(ひさこ)さんに、新たに生まれたBe ACTO亀戸について、特色やこれから取り組んでいきたいことを伺いました。

商業施設のKAMEIDO CLOCKとマンションのプラウドタワー亀戸クロス

地域と人とのつながりを目指して生まれたBe ACTO亀戸

まず、このBe ACTO亀戸はどのような経緯でできたのでしょうか?

柴田さん
野村不動産の事業としては、開発してそのまま売って終わっていたところを、売った後も地域の方に関わっていこうという構想のもと、Be ACTOが始まりました。(亀戸は)それなりに大きな開発なので、やはり住んだ後に地域の方たちと関わっていきたいという思いのなかで、 Be ACTO 亀戸をつくろうという経緯になりました。

もともとのこの開発敷地の歴史や亀戸のまちづくりの流れと、何かしらつながりもあったのでしょうか?

長谷部さん
もともとここにはショッピングセンターだった「サンストリート亀戸」があり、商業施設として地域の人たちとつながったりとか、地域の人たちが集うにぎわいの中心地みたいな感じの使われ方をしていた場所でした。それの後だから期待もされているし、やっぱり地域に愛される開発であることというのが非常に重要で、商業施設の方もコンセプトに地域共生をうたっています。それを住宅の方にも機能を持たせて、こういう(Be ACTOのような)場があるから、両軸でエリアマネジメントが取り組めるという開発になっていると思います。

一般社団法人ACTO亀戸事務局の柴田さん(左)と長谷部さん(右)

そのような流れがある中で、Be ACTO亀戸の目指すところ、目的を教えてください。

長谷部さん
目指すところは、ここがあるとないでは生活にちょっと幸せなことが多かったりとか、あったかい時間が多かったりとか、そういう日常のわずかな機微が喜ばしいことが多いって思ってもらえると嬉しいなと思いますね。
自分が子育てとかするときになったら、お友達をどこでつくろうかなとか、みんながみんな1人で生きていけるわけではないと思うので、そういったときとかに、ここがそういう人達にとってちょっと幸せになれる場になったらいいなと思います。

柴田さん
私自身こういう場がないマンションに住んでいるので、エレベーターとかで同じマンションの住民の方と会うと気まずいな、とか思っちゃう(笑)。交流があまりない分譲マンションだとそういうところも多いと思うんで、この人、前のイベントで見たなとか、ちょっと話したなみたいな関係づくりとかは重要だと思います。また、地域の団体の方からこういうお祭りあるよ、とかっていうのを情報提供していただけるので、会員の方へそういった情報を届けるためにパンフレットラックも置いています。まちに出るきっかけになるハブのようになるといいのかなと思っています。

Be ACTO亀戸ってどういうもの?

そこを目指す中で、このBe ACTO亀戸っていったいどういうものなんでしょうか?

長谷部さん
まず、機能としては3つ持っていて、1つはここの「まちのリビング」を運営しているので、9時から19時の間、会員様が使える機能になっています。
もう1つは、ここのまちを知るきっかけだったりとか、人とつながれたりとかっていうことを促していきたいので、イベントを開催していて、そこに参加することができます。
あとは、(会員の方が)人とつながるだとか、ここの場所で自分の特技を発揮してもらうというのを機能として持っています。そのため、自分のやりたいこととか、自分が教えたいこととかを、教室やイベントとして実施できます。それをオーガナイズするのをお手伝いしています。

くつろいだ雰囲気があふれる「まちのリビング」内のラウンジ

実際にどういうことをこれまで行ってきたのか、具体例を教えてください。

長谷部さん
ここの場所は、決して子育て層とか子どもだけに絞ったものではないんですけれども、今のところ、お子様と参加できるダンボールアートの教室を実施したものがあります。それは、講師の方を深川美術さんという近くの地域アートの教室をやっている方に講師として来ていただいて、引っ越しとかで出たダンボールを使ってもアートが作れるというイベントを実施しました。
あともう1つが、今窓に描かれている水性クレヨンのイベントですね。開催日は80人くらい、26組が親子できて、月齢が近いようなお子さんのお母さまたちがすごく会話をされていて、昨日も会いましたよねみたいな会話とか。あとは同じクラスの子と待ち合わせしてきてるんだよ、みたいな小学校のお子さんとかが、目の前でコミュニケーションをとってらしゃるのを見ることができました。

引越しで出たダンボールのアートをきっかけに生まれるつながり(Be ACTO亀戸ウェブサイトより)
水性クレヨンイベントで窓にお絵かき(Be ACTO亀戸ウェブサイトより)

おっしゃられた通り、普通のマンションにはないような場所や取り組みですね。そういった中で、今のところどういった反応とか声とかが寄せられているのでしょうか?

柴田さん
利用される方だと、雨の日で外に行けなくて家にずっといるのは、ちょっとなっていうときにこういうところがあると、ちょっと息抜きになるんじゃないかという声をいただいたりとか。
あとは、地域の方ももちろん会員になれるので、戸建てだったらこういうスペースはないですし、マンションにもこういう広いスペースないので、それで近くにこんなのあると嬉しいなという声を頂いています。
地域連携でいうと、けっこう江東区の周辺の方なんかはすごく興味を持ってくださって。イベントができる場所がない中で、ここならなんかできそうだなということで、いろんな団体さんからお話を伺えています。江東区さんからも団体さんをご紹介いただいたりとか、すごくいろいろな方に期待頂いているなと感じます。

江東区で開催される芸術祭と連携したアート展示

エリアマネジメントで生まれる新たな目線

野村不動産の中ではこれまで違う業務に携わられてきたと思いますが、エリアマネジメントという仕事でやってよかったなって思ったシーンがあったら、教えてください。

柴田さん
私は住宅の販売をしていたので、住んだ後の光景とかあんまり見る機会がなくて、逆に言うと、住む前に不具合があったらご指摘をいただくことがあったり等、お客様の気持ちをマイナスにしないように頑張るという仕事だったんですね。Be ACTOのやることはどちらかというと、住んだ後どうやってプラスに感じていただくかという話だと思います。
かつ、一般社団法人の事務局に入ると「対お客様」という関係じゃないから、ある程度対等な関係で一緒にやっていきましょうっていうシーンをつくれるのは、すごく今までと視点が変わってよかった点だなと。

長谷部さん
私はもともと商業施設の開発と運営の仕事をしていて、商業施設も同じように人が幸せになる場をつくれる仕事ではあるんですけど、やっぱり自分で直営しているものではなかった。ここだとその場で、自分がやったことをその場ですごく早くできるし、実際にやってくれてる人を自分たちの会員さんっていう感じで見ていられるので、それはすごく楽しいですね。
もうちょっと大きい目線で行くと、ここの開発方針であるBE UNITED構想というもの自体は、すごく自分のやりたいことに即している構想なので、その近くにいられるっていうのはすごく楽しいですね。

“BE UNITED”を目指して発展する活動

今お話に出てきた BE UNITED構想とはどういったものなのでしょう?

長谷部さん
つくったまちで人と人や人と企業、人と行政とかいろいろなつながりが生まれていくまちをつくろう、というのがBE UNITED構想です。その結果、つながりが多いから場所やまちに愛着が芽生えて何世代も住みたくなるまちになっていくだろう、という構想です。 それを実現するためにできたひとつのやり方が、Be ACTOですね。

その構想の下、これまで実践を積み上げてきた他の場所でのBe ACTOが、この亀戸でどう活かされているのしょうか?

長谷部さん
今までの日吉のBe ACTOと比べると、こちらは商業施設がエリマネを注力してやっていて、すみ分けしながらうまくやっています。商業での活動に比べると、Be ACTOだと事業ではなく、エリアマネジメントで稼がなきゃいけないっていうのがないから、やっぱりそこって全然違うなって思います。亀戸では両方、両軸のやり方ができるっていうのは、よかったなと思えます。

まちのリビング入り口で手に入る地域情報

下町・亀戸の伝統を拡張する活動の可能性

亀戸での地域的な特色はいかがですか?

柴田さん
亀戸に関しては、もともと下町のいい部分でもあるお祭りが盛んだとか、自治会活動が盛んです。そことうまく連携しながら、溶け込みながら活動をやっていくということは、すごく亀戸らしさでいいところです。

長谷部さん
古き良き日本を知っている人たちが多い場所だなって思っていて。世代的な違いもありますが、一緒にできることをやっていこうと。
もともと地域の人たちがやっていたお祭りの拡張版のような ― 「赤からし市」っていうイベントが毎年恒例であるんですけど、そのときにカメクロの店舗と、それだけじゃない町会の中のお店とかでも、飲食店が赤からしを使ったメニューを特別メニューとして、その期間みんなで出すことを連携してやろうっていっています。そのときに、じゃあBe ACTOでは赤からしを使ったイベント、料理教室をしましょう、というようなことをすると、いろんなところでそれが派生していくような。そういうのをみんなが同じ方向を見てやれる、というのを考えていますね。

まちへの想いをつなげられる場へ

亀戸のまちの中で、Be ACTOがこれからいかに関わっていくのでしょうか?

柴田さん
イベントの回数や場所をまず知っていただくのもありますが、つながりをつくるのが必要だとすると、自分たちが亀戸をよくしなきゃとか好きにならなきゃね、という気持ちを醸成することの方が重要だと思います。単純に提供するだけのイベントにならないように、ちょっと仕組みを考えながらやっていくしかないかなっていうのが、ここ一年くらいの考えです。今の段階は、亀戸を良くしていこうという気持ちを自分事として捉えてもらうっていうことかなと思います。

それでは、最後にメッセージをお願いします。

柴田さん
私の意見として、こういうエリアマネジメントであったり、地域をよくしたいっていう人が、ここ亀戸に関してはかなり多いんだなと思うので、亀戸はいいまちですよ、ということをお伝えしたいです。

長谷部さん
そういうまちへの想いを発揮する場がない人ってけっこういるんじゃないかなって思っていて。それは発揮する場はあるんだっていうのを知るのも難しいし、出会えない人は出会えないと思うので、亀戸にはそれがあるから知ってほしいなと思います。

生まれ始めた、地域や人とつながりのある暮らしに注目!

インタビューを通して、Be ACTO亀戸はマンションだけのコミュニティではなく、もともと下町の伝統や関係性がある地域ともつながりながら、新しい豊かな暮らしづくりに取り組んでいることが分かりました。Be ACTO亀戸のウェブサイトには、その特色を反映した活動が続々とアップされているので、これからの動きにも注目です。
エリアマネジメントで拡張される地域のお祭りなど、ぜひ訪れてみたいですね!

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