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コミュニティ施設運営「人と人がつながる居場所があり続けるということ」【高円寺コミュニティ施設 シリーズvol.02】

こんにちは、エリマネこ編集部です。
2022年秋にオープン予定の高円寺コミュニティ施設についてのシリーズ第二弾として、クオル社員でもあり、プライベートでもコミュニティ施設の運営に携わっている「並木さん夫妻」と「小村さん」との対談を行いました。

並木さん夫妻(優さん義和さん)は”子どもが放課後を生き生きと、アットホームな環境で過ごすことのできる教室と、子育て世代を中心とした地域の人々がおいしいごはんを食べることができるキッチンからなる暮らしづくり複合施設「みちくさくらす」を新宿にオープンさせ運営を行なっています。

小村さんは「本屋とカフェが一緒になってまちの中で人と人をつなぐコミュニティブックカフェ。」みたかのばの運営に関わるようになり、「ちーカフェ」と称した訪れる人がやりたいことを実現できるイベントをつくったり、三鷹を盛り上げる若者の集まり”たかわか”を発足させたりと、躍動中です。

そんな二組のコミュニティ施設実運営者に、コミュニティ施設の運営で大切にするべきポイントや、つまずいたこと、それでもやっていてよかったと思えることなどを伺いました。

地域の居場所が必要と感じ、施設を立上げる

まず、コミュニティ施設に携わるきっかけをお聞きします。

(並木優)都心に住んでいて、近所の交流や子どもの居場所が少ないと思い、そういった施設を作りたいと思ったこと、また、夫が建築の仕事をしているので、その拠点が欲しいと思ったことがきっかけです。

(みちくらくらす2F教室)
(みちくらくらす1Fキッチン)

自分のやりたいことが実現できる人と場があった

(小村)元々は、三鷹「まち活」塾という講座を受けていた中で、みたかのばの立ち上げに関わった方とつながり、みたかのばに足を運んだことがきっかけです。みたかのばに遊びに行ったり、イベント企画をして、自分のやりたいことができるんだと感じ、コアに関わり出しました。みたかのばの店主とマスターは、背中を押すのが得意で、気づかぬ内に引き込まれていったというのもありますし、三鷹のまち全体を盛り上げたいという視点も同じだったので、自分のやりたいことが実現できる人と場につながりました。

(みたかのば イベント)

施設運営の難しいポイントは利用者との信頼関係

(並木優)利用者のやりたいことや思いにずれがあること、必ずしも善意の人ばかりではないということを感じました。こういったコミュニティの場はお互いに信頼があってこそ成り立つと感じています。

(並木義和)だからといって、場所のルールを1個1個積み上げると堅苦しい場所になってしまう。できれば最初は否定したくなくて、やっていく中で信頼関係を築きたいなと思っています。

(小村)逆にみたかのばは、良い意味でも悪い意味でも入りにくい。でも、その入りにくさゆえに、人の繋がりで来ている人が多いから、その壁はあまり感じないのかなと思いました。

運営収支のバランスの難しさ

(並木義和)お金をしっかり決めすぎて、稼ぐことだけを考えてしまうと面白いことが全くできなくなる。でも面白いことだけをやっているとお金を稼げないという矛盾があります。

(小村)楽しいこと、やりたいことと収支のバランスは難しいなと思います。

そんな中、普段出会えない人との出会い、人とのつながりは大切

(並木優)始めて良かったことは、リアルな場所があることで、普通に生活しているだけでは出会わなかったであろう人と出会えるきっかけができて、人との繋がりが増えたことです。こういったコミュニティ活動に興味がありそうなかたが興味をもって足を運んでくださって、繋がって、今でも信頼関係を築いています。

信頼関係を築くことのできる人の探し方とは?並木優さんと小村さんの出会いにヒントが

(並木優)小村さんと私は、私の大学の研究室の先輩が、小村さんの大学の近くでまちづくり活動を始めたことがきっかけとなって出会っています。私が先輩に誘われて足を運んだイベントで当時大学生の小村さんと名刺交換をして、その後小村さんが実際にみちくさくらすに遊びに来てくれたのが最初のきっかけです。

(小村)並木さんと名刺交換をした後に、並木さんからメッセージがきてたんですね。多分、このメッセージがなかったら、私は、みちくさくらすに遊びに行ってないですね。やっぱり、その一言や一歩踏み出すアクションが連鎖するきっかけになるのかなと思いました。イベントや、そこに集う人が起こす行動一つ一つにモノコトが起こるきっかけがたくさんありますね。

(みちくさくらす イベント)

今後の施設運営は、場所にとらわれない考えとリアルの場の大切さ

(小村)実は、みたかのばは今あるところからはなくなってしまいます。ただ、三鷹の人が想像以上に関わってくださっていたし、やっぱりみたかのばの存在自体はなくなってほしくないなと思います。今後どうするのかを運営メンバーで考えているんですけど、ただ単に新規の店舗を探すのか、いくつかの拠点でやるのか、分散型にするのかなど、色々な方法があるのでは、と思っています。逆境が新しく生まれ変わるきっかけになっていますね。

(並木義和)僕は、両方気持ちとしてはあります。リアルな場所を持っていることの強みは、人と集まってイベントなどを自由にできる場所があるということです。でも、特定の場所にこだわらなくてもいいのではないかとも思っています。何か精神みたいなものをその場所に乗り移せることができるなら、そこが「みちくさくらす」だよねと言えると思うし、それが、リアルなのか、一時的な場なのかという違いだけなのかなと思っています。

(小村)どちらの強みもありますよね。そこに誰かがいるという強みはあると思います。

継続的に運営をする大切さ

(並木優)みちくさくらすは、子育て世代に対して情報発信をしており、紙媒体で配ることや、口コミで拡散されることが多かったです。そのため、お客さんが情報を受け取ってから足を運んでくれるまでの時差がありました。やはり、継続的に地道に発信し続けることで、足を運んでくれる人がいると思います。

(並木義和)明日なのか、半年後か1年後かわからないけど、その人の中で「よし行ってみよう」と思ってもらえるタイミングが来たときに、こちら側もきちんと受け入れられる余裕を持ちたいですね。頭の片隅に覚えていてもらって、ぱっと思い出してもらえるように、存在し続け、発信し続けることが大事だと思いました。

(みたかのば イベント時記念撮影)

終わりに

コミュニティ施設は「人と人の繋がり 」を生み出すきっかけの場でもあり、繋がりが連鎖していく場でもあります。ただ、特定されたリアルの場所がそこになくても、その精神やそこにいる人が、存在し続け、少しのきっかけとなる活動を発信し続けることが存在意義だと感じました。
同時に、様々な興味関心を持った利用者が、”それぞれの、行動したい” によってひとつの「場」に集ってくる、そんな「コミュ二ティ施設」があれば、より多くのきっかけが生まれ、人と人、まちと人との新たな繋がりも生まれていくのでは、とも感じました。その意味でもQUOLの手がける、様々な要素が合わさった新しい形のコミュニティ施設でどんな繋がりが生まれていくのか、一層楽しみになるお話でした。

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