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「バスの来ないバス停」があるのを、知っていますか?

 豊橋市に、バスの来ないバス停があるのをご存知でしょうか。テレビにも取り上げられたこともあるこのバス停ですが、いくら待ってもバスは来ません。では、なぜこのようなバス停が設置されたのでしょうか。その背景には、認知症の方の意思を尊重したいという人々の「優しい嘘」が隠されていました。

 このバス停は、認知症の方やその家族が集う認知症カフェ「アンキカフェ(神野新田町ワノ割)」の敷地の一角にあり、いくら待ってもバスが来ることはありません。その理由は、認知症の方がバスに乗って遠くに行ってしまい、行方不明になってしまうのを防ぐためでした。認知症の方がバスに乗ろうとする理由には、明確な自分の意思があることがほとんどで、そこには「家族に会いに行きたい」「家に帰りたい」などの目的があります。しかし、認知症の方は5分ほど経つと、自分が何をしたかったのか忘れてしまうことが多いため、「一旦このバス停で待ってみましょう」と促し、落ち着くまで過ごすことができる場所として利用されています。

 「行きたい」という意思を尊重するために考えられたこのバス停は、設置の趣旨に賛同した豊橋鉄道株式会社が、かつて使用されていた本物のバス停を譲渡してくれたことにより実現しました。「カフェ」と「鉄道会社」が協力して生み出した「優しい嘘」の輪は、他の企業や団体へと広がりを見せています。

 このバス停が設置されているアンキカフェは、住み慣れた地域の中で、認知症の方やその家族などが団らんや情報交換、レクリエーションのほか、認知症への不安や悩みを相談できる場として利用されています。全国的に普及しつつあり、豊橋市内にも、およそ10店舗の認知症カフェがあります。認知症カフェごとに特色が異なるので、自分自身の目的にあった「まちの居場所」を見つけることが出来ます。

  このように、企業や団体が行う認知症への取り組みなどを共有し、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指して、豊橋市では定期的に「認知症まちづくり報告会」を行っています。次回は3/13(日)に開催を予定しており、バスの来ないバス停を設置している認知症カフェのほか、地元の鉄道会社から認知症への取り組みを聞くことが出来ます。

 日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の5人に1人)が認知症になると予測されており、高齢社会の日本では認知症に向けた取り組みが今後ますます重要になります。認知症をジブンゴトとして、また「認知症になっても行きたいところへ行けるまち」を目指して、認知症について一緒に考えてみませんか?

【実施概要】
認知症まちづくり報告会
開催日:令和4年3月13日(日)
時 間:午後1時30分~2時30分
対 象:どなたでも(豊橋市外在住の方も可)
会 場:オンライン会議システム「Zoom」により開催(豊橋市役所本庁でも視聴可)
定 員:120人(オンラインは80人、豊橋市役所本庁は40人)
申込み:豊橋市ホームページより申し込み可(https://www.city.toyohashi.lg.jp/30872.htm

報告内容:
①豊橋鉄道株式会社「認知症の方が安心して利用できる鉄道を目指して」

②認知症カフェ・アンキカフェ「普段から人とのつながりを大切に感じられる明るいまちづくり」

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