サロン・ド・マルイチの前身は「マルイチ」という70年以上続く老舗の喫茶店でした。定番のフレッシュジュースは一杯ずつ三代目店主の江崎朝子さんが注文を受けてから果物を刻み、年季の入った搾り器を使って作っていました。2014年、接客から製造まで、気配りと体力が必要な仕事の質を維持することが難しくなり、店を閉めることを決意しました。朝子さんの息子でビルオーナーの公二さんは、マルイチが重ねてきた歴史を何らかのカタチで残したいと考えていました。そこで、私たちは先代達の思いと誇りを受け継ぎ、マルイチを柳ヶ瀬の未来を作るサロンとして、承継することを決めました。
●「サロン・ド・マルイチ」の内容について
弊店の看板メニューは“フレッシュジュース”と“シュークリーム”です。フレッシュジュースは、「マルイチ」から承継し、そのままの味わいを楽しめる無添加・果汁100%のジュースです。シュークリームは、なめらかプリンの生みの親である所浩史さんをアドバイザーに開発をしました。またサンドイッチなどの軽食や書籍の販売、ギャラリーを併設した柳ヶ瀬商店街の文化を発信する社交場としての喫茶店の営業を開始します。
●柳ケ瀬商店街の取り組みと当事業について
新しいまちとして柳ヶ瀬の地が拓かれたのが明治21年。それ以後、大盛況だった好景気の時代を含めたくさんの商い、出来事が積み重ねられて、現在の連続するアーケードの下に店々がひしめく、使い込まれた個性的なまちになりました。多様な趣味に答える店があり、オトナの社交場として機能し、様々な人が協力しながら、ここにしかない空間が育まれてきました。車に乗って郊外へ行けば、安全、便利、清潔、コンロールされた大型商業施設があります。しかし、これまでのように、多様なモノの中から新しい価値が創造されたり、また面白いこだわりの一品を手にしたりできるのは、やはりここ、柳ヶ瀬なのです。
一方で今、日本中の商店街と同様に、空きビル・空き家・空き店舗が増えてエリアの色を失いつつあるのも事実です。後継者のいない土地や建物が増えていくと、エリア全体に空虚感が漂いはじめます。店のひしめく面白いエリアは、このまま衰退の一路を辿るのでしょうか。そんな中、マルイチビルをリノベーションしてコンテンツを創出するなど、柳ヶ瀬にひとつひとつ魅力を増やしていくお手伝いを通じて、本来柳ヶ瀬がもっている魅力的なエリアとしての価値を取り戻すことができると信じてチャレンジします。
●事業概要
<名称>
サロン・ド・マルイチ
<事業主体>
柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社(代表取締役:林さや加)
サロン・ド・マルイチ 店長 奥岡莞司
<事業計画プロデュース>
事業総合プロデュース :柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社
建物全体設計 :株式会社ミユキデザイン
グラフィックデザイン :株式会社リトルクリエイティブセンター
建物・内装工事 :コネクト
資金調達協力 :株式会社十六銀行、一般財団法人民間都市開発推進機構
<オープン日>
2019年8月18日
<営業時間>
10:00-18:00
定休日:月曜日・第1、3火曜日
<延床面積>
<事業費>
約1,350万円
※うち500万円をまちづくりファンド出資金を活用
●参考1 柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社について
柳ヶ瀬商店街のエリアマネジメントを目的に、2018年12月に設立した株式会社。事業としては、月に1度「ぎふ・柳ヶ瀬サンデービルジングマーケット」というマーケットを主催しているほか、サブリース事業で地区内の中心に位置するビルをリノベーションし、スタートアップの起点として複数の事業者に賃貸している。
●参考2 「じゅうろく・岐阜市まちづくりファンド」について
国土交通省所管の一般財団法人民間都市開発推進機構(東京)の持つ制度「マネジメント型まちづくりファンド」に基づき、2019年3月に設立。官民連携による岐阜市中心市街地のにぎわいを目的に古民家や空き家改修など、遊休不動産の活用に資する地域課題を解決する民間事業に対しいて出資などをして事業推進を支援。民都機構と十六銀行が5,000万円ずつ出資し、計1億円のファンドを形成。民間主体の地域再生に役立つことが期待されている。
●参考3 「ヤナガセ家守株式会社」について
じゅうろく・岐阜市まちづくりファンドから社債を発行するにあたり、柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社の子会社として、特定目的会社『ヤナガセ家守株式会社』を設立。ヤナガセ家守株式会社がオーナーから物件を賃貸し、柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社などにサブリース事業として運営する。