エリマネこ

まちを、エリアを楽しくするお役立ちメディア

相互扶助から紐解く、まち、コミュニティをよくするためのお互いを助け合うサービス・事例紹介

かつての地域社会では「おたがいさま」といった相互扶助の精神が根付いており、歴史的な背景を少し紐解くと、「向こう三軒両隣(自分の向かい側の三軒の家と左右二軒の隣家を指す、日常親しく交際する近隣の称。古くは隣保制度の単位でもあった)」という言葉のように、今以上に近所付き合いが日常的にあった時代もありました。「隣保制度」とは、共同責任や相互扶助を行うもので、江戸時代の「五人組」などがよく知られています。相互監視の仕組みとして管理者に利用された側面もありますが、居住者としては非常時に助け合う仲間として重要でもあったとされています。

集合住宅の増加や生活空間、都市構造の変化、住民意識の関心変化、地域コミュニティを支える人材不足等による、地域同士の繋がりは減少していきましたが、東日本大震災やコロナ禍の災害を経てますますニーズが高まっている一方、これらを解決するサービスや機能が行政や民間で維持できていない例もあります。

そこでエリマネこでは、時代とともに仕組みの変化が必要とされる今、どんな機能が、まちに、コミュニティにマッチしそうかを考え、互いに助け合うことといった取り組みや活動を調べ、下記をポイントにサービスや事例、機能などをまとめてみました。

—-
①人と人、人と団体について相互に補完する関係がある
②無償/有償問わず仕組み化されているもの(継続的な活動)
③まち、コミュニティ単位の規模で、課題解決型や暮らしをプラスにする目的やテーマがある
—-

◆まちづくり団体の事例紹介

▽【北長瀬コミュニティフリッジ/一般社団法人北長瀬エリアマネジメント】

https://communityfridge.jp/

北長瀬コミュニティフリッジは、食料品・日用品の支援を必要とされる方が、時間や人目を気にせず、24時間都合が良い時に提供される食料品・日用品を取りに行ける仕組み。2021年度グッドデザイン賞100にも選ばれています。

(参考までに、海外でもコミュニティフリッジは実施されていますが、北長瀬が日本で初めての取り組みのようです)
https://tabi-labo.com/299417/wt-overthrow-community-fridge

▽【まちの学食/させぼ新型コロナ対策支援協議会】

https://www.sasebo-council.com/

まちの学食とは、街の大人たちから募金を集め、学生街の飲食店に分配し、佐世保で勉学にはげむ学生たちに、コロナ禍の厳しい環境でも、無料でお腹いっぱいご飯を食べてもらうための応援プロジェクトです。

▲まちの学食/させぼ新型コロナ対策支援協議会/PRTIMESより引用

▽【コミュニティナース/Community Nurse Company株式会社】

http://community-nurse.com/about

コミュニティナースはわくわくできる毎日をつくり、いつも地域の中にいて、〝健康的なまちづくり〟をする医療人材のことで、病院や在宅事業所ではなく、地域で活動し、病の有無に関わらず、いつも住民のそばにいる活動のことです。

◆テクノロジー、アプリケーション編

▽【common/東急株式会社】

https://www.common.tokyu.co.jp/

地域共助プラットフォームアプリは、街の話題提供だけでなく、モノの譲渡(不要品や余ったモノなど、素敵なものをご近所さんと譲り合う)機能もあります。

▲地域共助のプラットフォームサービス「common」が目指す姿/PRTIMESより引用

▽【ピアッザ/PIAZZA株式会社】

https://www.lp.piazza-life.com/

街に暮らす人同士がお互いに情報を発信しあうことで、街のことを知り、つながりを作っていくことができる地域SNSアプリ

▲PIAZZAについて/PRTIMESより引用

◆地域の文化・風習

▽【模合(もあい)/沖縄県】

https://suumo.jp/journal/2020/06/01/172638/

毎月メンバーでお金を出し合って資金を積み立て、半年~1年に一回、「親」が回ってきたら、そのお金を総取りできます。月一で集金するついでに「飲み会」を行うのが一般的で、飲み代は積み立てるお金とは別に支払うのが基本だそうです。

※模合用のアプリがリリースされており、模合ごとに金額や積立額などを設定し、出欠や模合金の支払いの有無などが確認できるほか、グループ内でチャット機能も利用できるようです。http://itmail.moo.jp/moaipay/

▽【無尽(むじん)/山梨県】

https://yamanashi-guide.com/mujin/

月1回程度特定のメンバーで集まって飲み会や食事会を開き、食事代とは別にお金を徴収して積み立てる山梨県独特の文化のことです。積み立てたお金は参加メンバーが順番に受け取り、自由に使うことができます。受け取ったお金は貯金をしたり、自分のほしいものを買ったりすることができます。年に数回、特別なボーナスをもらえるような感覚のイベントとなっています。

▽【共同売店/沖縄県】

https://kobayashitoyamada.wixsite.com/kobayama/morekyodobaiten

(資料のアーカイブ/共同売店ファンクラブ)
https://kyodobaiten.org/archives/

小さな集落で生活をするために、互いに支え合う相互扶助の考えをもった共同体であり、住民同士が資金を出し合ってみんなで運営するお店のこと。

◆日本の歴史編

▽【頼母子講(たのもしこう)/鎌倉時代~江戸時代に流行】

金銭の融通を目的とする民間互助組織。一定の期日に構成員が掛け金を出し、くじや入札で決めた当選者に一定の金額を給付し、全構成員に行き渡ったとき解散する。

▽【伊勢太太講・伊勢代代講(いせだいだいこう)/江戸時代に流行】

室町時代以後,無尽のような仕組みで、交代で伊勢参りをして太太神楽(ダイダイカグラ)を奉納する費用を積み立てた組合。

◆海外の歴史編

▽【Rotational Savings Club(持ち回り貯蓄クラブ)/アメリカ】

https://www.businessinsider.jp/post-173382

「400ドルの急な支出に耐える貯蓄がない」アメリカ成人4割のための相互救済アプリ

◆その他、類似性のある言葉

ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)、互酬性

最後に、
昨年2021年12月末に公開されていた相互扶助のあり方やコミュニティの再構築に関する記事を読み、今年2022年はより一層、北長瀬コミュニティフリッジのような事例や社会課題へのアプローチを目的としたエリマネ活動が増えていくのではと感じました。エリアマネジメントの位置づけとして、賑わいづくりやエリアブランディングも大事ではありますが、コロナ禍でまだ先が見えない中でも地域内の課題解決や人との繋がり、助け合いに関する事例が増えていくことに期待し、これからも引き続き調査を続けていきます。もし読者の皆さまがご存知の事例などありましたら、ご一報いただけると励みになります。
(参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティングより新たな社会・経済システムとしてのフリーランスエコノミー~地域相互扶助システムの復興へ~)

Twitter→https://twitter.com/ErimaneC
問い合わせ→https://erimane.com/contact/

最新の記事をメルマガ配信中(不定期)

Twitter

情報登録を受付中!

Return Top