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日本初の木造ハイブリットビル「KITOKI」日本橋兜町に完成 – 環境に配慮した建築を手がける「ADX」が、都市建築における木の可能性を拓く

国土交通省「令和 2 年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」採択事業

株式会社ADX(本社:福島県二本松市/代表:安齋好太郎)は、平和不動産株式会社(代表取締役社長:土本清幸)が推進する日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトにおいて、日本初*の木造ハイブリット・都市型高層建築「KITOKI」を完成したことをお知らせいたします。当ビルは、SRCメガストラクチャーと耐火木造を組み合わせた”ハイブリッド構造”を採用し、国土交通省「令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。

*自社調べ(2020年5月時点、「日本国内のSRCメガストラクチャーと耐火木造を組み合わせた建築物」として)
 

  • SRCメガストラクチャーと耐火木造による ”ハイブリット構造

RC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、3層ごとの木造建築を組み合わせて10階建てのオフィス兼店舗を建設。建物全体の構造性能はRCメガストラクチャーにより担保し、その中に木造3階建ての建物を自立させること建物全体が軽量化され、地震力や基礎等への負担を軽減できることに加え、将来的な増改築が容易になるなど合理的な構造となっています。

(左)RC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、3層ごとの木造建築を組み合わせる構造 (右)断面図(左)RC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、3層ごとの木造建築を組み合わせる構造 (右)断面図

  • 自然とのつながりを重視した ”バイオフィリック・デザイン”

無機質なイメージの強い都心の金融街だからこそ、木材を多用した自然を感じられるデザインによって温かみのある空間を生み出しました。


ビルの外観を印象付ける4本の柱には、デザインデータとNC加工機を連動し製作した木製型枠にコンクリートを打設・転写させることで、それぞれ1本ずつカブトムシ・トンボ・テントウムシ・バッタの4種類の昆虫の羽のデザインを施しています。従来のコンクリート柱に比べて、表面を有機的で柔らかな表情に仕上がるとともに、この木製型枠を内装材や館内アートピースに転用し、無駄のない木材活用を目指しました。
また、エントランス部分を含む1〜3階部分の梁には、秋田県産の栗の木を丸太のまま使用。通常、広葉樹の天然乾燥には数年の期間が必要とされますが、改質水と抗火石を使った日本初の木材乾燥機「woodbe(ウッドビー)」を用いて人工乾燥させることで、乾燥期間の大幅な圧縮とコスト削減が実現しました。

(左)木製型枠を館内アートピースに転用 (右)1〜3階部分の梁に秋田県産の栗の木を丸太のまま使用(左)木製型枠を館内アートピースに転用 (右)1〜3階部分の梁に秋田県産の栗の木を丸太のまま使用

  • RC造と比べて約27%のCO2削減を実現

建築のライフサイクル全体の環境負荷のうち、50〜60%が材料調達から建設までの過程で発生します。つまり、CO2削減を実現するには建築をつくる段階でどれだけ環境負荷を低減するか、つまり、どのようなマテリアル(建材)を使用するかが重要であるということになります。
KITOKIでは、デンマーク・コペンハーゲンの環境建築コンサルティング会社、henrik-Innovation(ヘンリック イノベーション)の協力のもと、初期的なライフサイクルアセスメントを実施。木造を組み合わせることによって、同規模のRC造と比べて約27%のCO2削減を実現しているという結論に至りました。

※henfik innovation社による分析シミュレーションソフトウェアLCAbygge、データベースOkobau.dat ※木造部分の二酸化炭素固定分を加味(固定分を加味しない場合約12%の削減)※henfik innovation社による分析シミュレーションソフトウェアLCAbygge、データベースOkobau.dat ※木造部分の二酸化炭素固定分を加味(固定分を加味しない場合約12%の削減)

  • まちの人が集うオープンテラス空間

ビルの外構をまちの人が集う公共空間として活用することを目的として、1階にオープンテラスを整備。当社がデザイン・制作した木材のブロック「Kabulock(カブロック)」を組み合わせ、木ならではの温かみがある、親しみやすい形状のウッドテーブル・ベンチを設置しました。このオープンテラスはワーカーや来街者が読書や食事、待ち合わせなど自由に使うことができ、憩いやにぎわいの空間となります。

・Kabulock

株式会社日本取引所グループが社会貢献活動の一環として推進する「東証上場の森」が所在する秋田県由利本荘市矢島地区の木を使用し、組み合わせによってベンチやテーブルなど多種用途に活用可能なブロックです。
※株式会社日本取引所グループは、2004年6月、秋田県由利本荘市矢島地区に約5ha(現在は約7.3haへ拡張)の 「東証上場の森」を設け、樹木の成長に市場の発展や魅力向上などの願いをこめ、保全活動を実施されています。

■施設概要

建築主:平和不動産株式会社
総括・意匠設計:株式会社ADX
施工:株式会社ADX
構造設計:なわけんジム
設備設計:株式会社テーテンス
耐火設計協力・木材コーディネート:株式会社シェルター

​所在地:
東京都中央区日本橋兜町 8 番 5 号

アクセス:
東京メトロ東西線「茅場町駅」徒歩 1 分

延べ面積:889平米
階数:地上10階

■会社概要

​会社名:株式会社ADX
設立:1986年
代表者:安齋好太郎
所在地:福島県二本松市油井字松葉山6
ウェブサイト:https://adx.jp/ 

安齋好太郎率いる建築チーム。「森と生きる。」をフィロソフィーとし、福島・安達太良山の麓と東京の2拠点で活動。自然と共生する建築を最重視し、自然に戻しやすい素材だけを使う工夫や建材のトレーサビリティの設計、さらには建築が増えるほど森が豊かになっていくリジェネラティヴな環境再生型の事業展開を目指す。設計・施工・プロダクト開発・森林地域における開発行為のコンサルティング等を行い、近年の代表作に「五浦の家」「One year project」「SANU 2nd Home」などがある。

本件に関するお問い合わせ先
株式会社ADX info@adx.jp

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