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まちの人が主役になる日——相模大野「おおのみんなdeフェスティバル」がみせる共創の実践

「こんな取組みがあったなんて。知りませんでした。」「初めて見ましたが、凄かったですね。」
——「今度、ぜひ一緒にやりましょう」

 2026年5月、相模大野駅周辺を舞台に開催された「おおのみんなdeフェスティバル」の会場では、ところどころでそんな声が聞こえていました。出店者同士が挨拶を交わし、または名刺を交換し、自然とテントの搬入を手伝い合う。
地域の66団体が集まった2日間のお祭りは、初夏の快晴の下、終始にぎやかな時間を届けていました。

 「まちの人へ届ける」ではなく、「まちの人とつくる」「まちの人同士でつくる」。そんなお祭りの舞台裏を覗いてみました。

▲青空の下、芝生の広場で吹奏楽に耳を傾ける時間(編集部撮影)

まちの熱意を、ふくらませるエリマネ

 このフェスティバルを主催したのは、2026年4月に立ち上がったばかりの「相模大野駅周辺エリアマネジメント」。プラウドタワー相模大野クロスの開発事業者である野村不動産株式会社、オーノクロス広場の運営事業者となるJCOM 株式会社、相模大野中央公園内に設置したカフェ運営事業者であるタリーズコーヒージャパン株式会社の3 社が中心となり、活動を始めたまちづくり協議会です。

 きっかけは、相模大野のにぎわいの核の一つでもあった、伊勢丹相模原店の閉店でした。伊勢丹へと続くコリドー街、相模大野中央公園へと通じる公共歩廊。かつてのまちの活気を支えていた動線が少しずつ静かになり、市も、商店街も、まちの人も、その変化に危機感を持っていました。

▲左:「これからの10年でやってみたいこと」コーナー(編集部撮影)▲右:エリマネが掲げるコンセプト(PRtimesより) 

 その伊勢丹の跡地開発を中心として始まった団体が、相模大野駅周辺エリアマネジメント。協議会のメンバーは立ち上げにあたって、一つの方針を決めました。それは「トップダウンのまちづくりにはせず、まち自身にある活動や人想いを大事に扱うこと」。

 相模大野は、まちの営みを支えてきたたくさんの商店会があり、地域団体の文化活動も盛んでした。まちに既にある熱量を上書きするのではなく、大切に扱い、様々な人に知らせ、膨らませていく役割を担うこと。 その選択が、「まちの人とつくる」フェスティバルの出発点になりました。

一人一人の想いと向き合って広げたネットワーク

 フェスティバルの準備は、エリアマネジメントの協議会メンバーが、地域団体を一つひとつ訪ねるところから始まりました。活動内容を聞き、相模大野での開催における工夫や懸念を聞き、時にはヒアリングをそのまま企画に反映する。地道に足を使い、時間をかけた積み重ねでした。
 企画開始当初に、事務局でリストアップできていた団体は30-40団体ほど。それが、団体同士で互いに声をかけ合い、どこかから耳に入り、気づけば2倍の数にまで広がっていました。 まちの中で自然に伝わったその広がり方自体が、相模大野に根付いていた熱意とつながりを示すものだったのかもしれません。
 一方で、勢いよく広がった分、希望を受け止めきれなかった団体もあり、参加を断らざるを得ないケースも生まれました。参加の枠組みや規模の大小の付け方など、事務局では継続して検討を続けているそうです。

▲お店の人と話しながら楽しむ “おのみんストリート”(編集部撮影)

まちの"新しい日常"に繋げる仕掛け

 このフェスティバルには、まちを舞台にした2つの工夫がありました。

 ひとつは、複数の会場を巡回する「回遊型」の開催形式。一直線につながっているメイン3会場に加え、スタンプラリーのスポットを含めると計11か所。まちなかを実際に歩いて、巡って楽しんでもらう仕掛けです。
 開発を契機に新しく相模大野に住まう人には、まちを知ってもらうため。
 昔からまちを知っている人には、今の相模大野の魅力を再発見してもらうため。
 自ら歩いて、見つけに行き、魅力を発見してもらう。フェスティバルが終わった後も、その魅力を感じながら日常を過ごしてもらうための設計でした

 もうひとつが、スタンプラリーの台紙がわりの「てぬぐい」。その場でカードを完成させて終わり、ではなく、普段使いできるものとして選ばれました。相模大野に新しい日常をつくっていく——エリアマネジメント自身のコンセプトを、てぬぐいという日用品で手に取ってもらう形をとりました。 イベントを「その日限り」で終わらせず、実直に少しずつ、新しい風景を生んでいく。まちと向き合ったエリマネの姿勢が、そういった細部にも宿っていました。

▲てぬぐいスタンプラリーを楽しむ人(協議会提供)

まちに生まれた新しい風景

 フェスティバル当日、相模大野のまちはたくさんの人であふれました。地道なヒアリングの結果、出店・出展をしてくれたのは、さまざまな形態でまちの中で活動する皆さんでした。

 コリドー街では、路上マーケット“おのみんストリート”が開かれました。細やかなアクセサリーや陶芸小物、湯気のあがる商店会グルメ。歩みを進める程に、大学生たちの研究展示や相模原市の試みの紹介、自主開催している一箱古本市などが並び、どこのテントも人が集まっていました。

 オーノクロス広場では、大型サイネージを背にした “おのみんステージ”が設けられました。勢いのあるよさこいや小学生約50人の楽団、プロスポーツチームのチアや、大学生の本格的な吹奏楽・チアサークルなど、様々な団体が広場に彩を添えていました。演目の無い時は、芝生に寝転ぶ人や追いかけっこをするこどもたちが見られ、穏やかな時間が流れていました。

▲コリドー街が一日限りのステージに(編集部撮影)

 公園で開催されたのは、体を動かす、をテーマとした“おのみんパーク”。プロチームのスポーツ体験教室や、公民館が主催するモルック・歩き方教室が開催されました。小さなこどもと一緒の人たちは、横浜緑地企画のまつぼっくりワークショップを楽しんだり、新しく出来たタリーズコーヒーで一休みしたりと笑顔の溢れるひとときが流れていました。

 また、この中心となる3会場だけでなく、施設同士の連携機会も生まれました。3会場をつなぐ軸に接するグリーンホールでは、こどもたちに向けたミニライブやピアノ・バイオリンといった楽器体験のイベントが。隣接する図書館では、まちの変遷に関する展示や書籍配架、こども向けのおはなし会などが、同日に行われました。そのため、フェスティバルの来場者が看板を見て2施設に立ち寄ったり、ミニライブに来た親子連れがマーケットを楽しんで帰ったりと、本企画を契機に、他施設も含めてまちを楽しむ光景が見られました。まちの魅力が詰まった、どこを撮っても笑顔あふれる豊かな風景が、相模大野に広がっていました。

▲掛け声と笑い声があふれる “おのみんパーク”(編集部撮影)

フェスティバルが残したもの

2日間のおおのみんなdeフェスティバルは、のべ4000人近くの来場者が集い、大盛況に終わりました。ただ、相模大野で生まれたものは、2日間の活気だけではありません。

自分の店のドリンクを紹介し、または研究活動を紹介して、それに頷き、終わった後にねぎらいあい、お疲れ様!と言って帰る。開催後の清掃に、スポーツ団体が用意してくれたお揃いのチームTシャツを着て、出店者も来場者も一緒に取り組む。また、「今度は一緒になにかやりましょう」「ご挨拶したかったです」と言いながら声をかけあい、笑顔で今日を振り返る。

これは主催者側が準備したプログラムではなく、みんなで創ろうとしたからこそ、自然に生まれた風景でした。

エリアマネジメントの視点では、まちに関わる人が生まれること、地域の人同士の生きたつながりが生まれることはとても大切です。 まちに入り、顔をあわせ、活動の価値を話し、一緒に楽しむ。そのシンプルな姿勢こそが、もしかしたら共創の糸口なのかもしれません。

▲夕暮れ時、広場に腰掛けて映画を楽しむ。(編集部撮影)

活動の詳細はこちら↓

おのみん|相模大野駅周辺エリアマネジメント HP
https://onomin.jp/

執筆・撮影: 脇本 菜津美
編集: エリマネこ編集部

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