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「都市をデジタル化する」Project “PLATEAU”、3D都市モデルを活用したユースケース続々発表

瀬戸寿一(東京大学)×石丸伸裕(日立製作所)による特別対談も公開

国土交通省が推進する3D都市モデルの整備事業Project “PLATEAU”では、ブラウザで3D都市モデルが見られるPLATEAU VIEWやユースケースなどを掲載したティザーサイトを公開中。民間事業者とともに開発したユースケースや新サービスを随時発表している。2/19からは、社会地理学・市民参加の研究者である東京大学 特任講師 瀬戸寿一氏と、CityGMLの仕様策定にも携わった株式会社日立製作所 石丸伸裕氏の対談も掲載。地理空間情報のプロによる貴重な顔合わせの対談は必見だ。■Project PLATEAUとは

Project PLATEAUは、国土交通省が進めるまちづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業。全国56都市の3D都市モデルを整備し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市のデータを引き出し、活用できるようになる。3D都市モデルとは、「都市計画基本図」などの2次元の地図と航空測量等によって得られる建物の高さ等の3次元情報を組み合わせて作成した3次元形状に、名称や用途、建設年といった属性情報を付加して作成した、都市空間そのものをサイバー空間上に再現したもの。これまでは地形情報や地盤などの情報は平面で見ることを前提に集められており、建物の用途や人口流動、地区開発の変遷、環境やエネルギーのデータなど、「場所」に関係する各種データは各省庁、地方自治体に分散して存在していた。これらの様々な都市活動データを3D化した地形データと統合することで、都市計画立案の高度化や、都市活動のシミュレーション、分析等が可能となる。
ティザーサイト(https://www.mlit.go.jp/plateau/)では東京23区など一部都市の3D都市モデルを先行公開している。2021年3月末までに全国56都市の3D都市モデルを整備し、オープンデータとしてサイト上で公開することを予定している。また、多くの方に活用してもらえるよう、活用例となるユースケースを開発中。こちらも3月に30以上のユースケースが発表される。

■3D都市モデル

PLATEAUでは、City GMLを使用することによりセマンティック(意味論)な都市データが実現する。3Dで見られる都市の地図はこれまでにもGoogle Earthを筆頭にいくつもあったが、3Dの地図は建築物などのオブジェクトを「形」で再現し現実と同じように「見える」ものである。PLATEAUで整備する3D都市モデルは、都市空間に存在する建物や街路といったオブジェクトに名称や用途、建設年といった都市活動情報を付与することで、実世界の都市を仮想的な世界に再現する。見た目だけではなく、50階建てのオフィスビルは50階建てのオフィスビルとして、歩行者専用道路は歩行者専用道路として、サイバー空間にあるもう一つの都市に存在することになる。この、実世界の都市を仮想的な世界に再現することは「デジタルツイン」構想の大きな一歩である。「デジタルツイン」が実現し、仮想空間上に現実そっくりのもう一つの都市ができれば、高度なシミュレーションや分析が可能となり、より高度な防災計画や将来を見据えたまちづくりが進む。

■PLATEAUの活用例
3D都市モデルは新しいプラットフォームであり、その活用ポテンシャルは国際的にも未開拓の分野となっている。PLATEAUではデータを整備・公開するだけでなく、地方自治体やエリアマネジメント団体、民間企業等とパートナリングを行い、ユースケースとして社会課題解決のソリューションや民間市場創出の開発実証を行っている。ユースケースを公開することで多くの人に活用可能性を感じてもらい、さらに幅広い分野での活用法が生まれることを期待している。ここでは現在公開中のプロジェクトからいくつかのユースケースを紹介する。

◆社会課題解決

洪水浸水想定区域図の3D化
これまで平面図で示されていた東京23区の洪水浸水想定区域図に高さ情報を加え、3D都市モデルと重ね合わせるプロジェクト。危険区域3Dで表示されることで一目で理解しやすくなり、より有用な「ハザードマップ」の作成に寄与する

時系列浸水シミュレーションデータの3D可視化による防災計画立案・防災意識啓発
鳥取市市街地をモデル地域に、時系列の浸水シミュレーションデータを3D都市モデルに重ね合わせ、洪水による浸水の広がりにあわせて道路等が徐々に使えなくなっていく様子の可視化を行う。避難経路の検討や防災意識の向上、実際の避難行動に役立つことが期待される。


センサー配置シミュレーション
大丸有エリアではスマートシティプロジェクトとして都市のリアルタイムデータを収集することでデータに基づいた意思決定を行う「エリアマネジメントのDXモデル」の構築を目指している。その実現に必要なセンサー設置場所のシミュレーションを3D都市モデル上で行う。

レーザーセンサーによる高精度でリアルな人流計測
レーザーセンサー等で取得した人流データを3D都市モデルに重ね合わせ混雑状況を可視化する。市民や観光客が安心・快適に使用できるまちづくりや回遊/滞留行動促進のためのエリアマネジメントだけでなく、ニューノーマルへの対応として混雑緩和のための情報発信にも活用できる。

◆民間市場の創出

物流ドローンのフライトシミュレーション
高層ビルが立ち並ぶ都市部における安全かつ効率的なドローン航行の実現に向け、3D都市モデルを活用したフライトシミュレーションを実施。従来は飛行ルート上の建物等の障害物を現地調査で確認しているが、シミュレーションにより現地調査等の工程を効率化できるか検証する。

工事車両の交通シミュレーション
大規模な建設工事では、多数の工事車両等が現場付近を走行することで交通渋滞などが課題となる。3D都市モデルを活用して工事車両が通行可能なルートをシミュレートするほか、地域住民の生活圏や騒音の発生なども配慮したシミュレートを行うことで、最適な工事車両ルートを導き出す。

仮想空間に「バーチャル新宿」構築
3D都市モデルを用いて新宿三丁目エリアの百貨店とその周辺をバーチャル空間で再現。アバターを用いて「まちあるき」やユーザー同士のコミュニケーション、イベント参加等様々なコンテンツの体験を可能にする。

  • 特別対談 瀬戸寿一(東京大学)×石丸伸裕(日立製作所)

GIS(地理空間情報システム)の専門家であり「バーチャル京都」に関する研究にも従事した瀬戸寿一氏と、City GMLの使用策定にも参画した石丸伸裕氏による特別対談を公開中。海外の事例にも多く触れてきた二人が、Project “PLATEAU”にかける期待、先行事例から考える「日本モデル」の在り方などを語る。

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